「古文書レスキュー」。地域の文化・営みの歴史を後世に伝える学者のボランティア

 1028日のみんながけっぷちラジオは「次世代に伝える。原発避難15年目ラジオ」。今回は福島・浜通りの近代史を研究している西村慎太郎(にしむらしんたろう)さんをゲストに迎えた。西村さんは学生のときからボランティアで被災した古文書の保存活動をしており、現在も文化財や歴史資料のレスキューに取り組んでいる。

 

フレコンバックの中に眠っていた文書

古文書(文書)とは一般的には江戸時代などの遠い昔の村の名主や寺社が残した手紙や証文のことで、税金や村の権利などについて記されている。古文書か文書かは古さの違いで、西村さんが取り組んでいる「文書」は明治以降に書かれたものを指す。福島の場合は、明治から平成の比較的最近のもの(15050年前)が多い。だが近代の史料、特に震災当時の情報は貴重だと言う。原発事故が起きた地域では帰還困難区域の場所もあり、廃屋になって家屋解体で今まさに失われつつある。「解体現場でフレコンバック(廃棄用の黒い大きな袋)に入っている資料を救ったこともあった」と西村さん。

震災・原発避難当時の状況を知るという点で近代の歴史資料は重要である。文書だけでなく、震災当時のミニコミ誌や地域性が出る新聞の広告・チラシなどを保存することで、地域研究やメディア研究などに活かすことができる。

 

「浪江にそんな歴史が!」文書を通して気づく

西村さんは救出した地域の歴史資料を発掘・保存し、すべての古文書に対して目録を作り、年に数回開催される「浪江を語ろう!」報告会(浪江町地域文化フォーラム主催)で発表している。当初は興味を示さなかった地元の人も、「浪江ってそんな歴史があったんだ」と気づく機会になっているという。移住してきたのかそこで生まれたのかは関係なく、誰もが「歴史」という軸でつながって浪江を語り合えるのが、古文書レスキューや報告会の意義である。

9月に栃木県小山市で開催された「浪江を語ろう!スピンオフ企画 双葉郡を語ろう!」のイベントでは、アットホームな雰囲気のなか、参加者も登壇者も関係なく、みんなが楽しくふるさとである双葉郡について話している姿が印象的だった。原発事故や震災当時の話を継承するだけでなく、それ以前にも営まれていた日常を思い出すこともまた大切だと思った。

 

【ラジオ後記】今回西村さんの話をするまで古文書について全く知らなかった。古文書が意外と身近な存在で、地域研究の重要な資料になり得るかもしれないと知り、実家に古文書があるかどうか探してみようと思った。今回のラジオや記事が、より多くの人が地域の古文書や歴史に興味を持つきっかけになることを願う。(ラジオ学生とま)

 

 

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