自然の恵み豊かな能登は、都市が過密化すればするほど、より魅力を増すと思う。

■先祖代々の田んぼを直し、米作り!

 

 私は能登半島の先端、珠洲市長橋町の棚田の復田作業をお手伝いしています。最初は2024年7月に母校の金沢工業大学のOBとして「揚げ浜式塩田及び周辺地域の復興活動」に関わったことがきっかけで、海辺の塩田を登った急斜面の上にお住まいの国吉さん(70代)と出逢いました。

 国吉さんの田んぼは震災で水路が崩れ、ため池からの水が引けない状態でした。片足が不自由で「もう原野に戻してしまおうか」という思いと「先祖代々の農地を自分の代で原野に戻してしまってよいものか」という葛藤のなかで、でも諦めきれずに農機具を手放さずにいました。

 お宅を初めて訪れた時、歴史ある佇まいと立派な神棚、そして里山と海が一体となった田畑の景色に感動しました。海辺の揚げ浜塩田へつながる山・里の暮らし、時代を超えて営まれてきたこの景色は未来に伝えたい地域の宝だと感じ、国吉さんと栃木の仲間と一緒に農地の復旧に取り組むことにしました。

 

■寂しい仮設の印象が変わった「夕暮れ酒場」

 

 とちぎVネットの活動に参加したのは、つい先月(10月)です。真岡で有機栽培の稲作の指導を一緒に受けている友人から「毎月2回能登でボランティア活動がある」と聞き早速連絡しました。とちぎVネットが拠点にしている輪島市金蔵は、長橋から車で30分の距離です。向かってみると、そこは昔話の景色のような美しい棚田の広がる地域でした。そして金蔵の集会所に集う皆さんが、農を軸にした地域復興活動に精力的に取り組んでいます。私が活動する長橋地域とも連携した活動をしていきたいと思いました。

 私が参加したボランティア活動は、刈り払い機での草刈りと仮設住宅での夕暮れ酒場です。仮設住宅の印象は(時節柄、急に冷え込んで来たせいかもしれませんが)人気のない・工事関係者以外に外を歩いている人があまりいない、ひっそりとしている、というものでした。夕暮れ酒場でも、皆さん入ってくる時はなんとなく縮こまった感じでしたが、段々に笑い声が起こり、会話がにぎやかに交わされ、歌謡曲の合唱が始まりました。おつまみが足りなくなると「家から持ってくる!」とおかずが盛られた大皿を手に戻られた女性もいました。お酒を飲まない人も、工事関係の人も、一緒にその場を楽しんでいる様子にとても嬉しくなりました。

 

■「心も体も元気に」能登は可能性に溢れている

 

 自然の恵み豊かな能登は、都市部が過密化すればするほど、より魅力を増すのではないかと思います。海・山・里の自然を五感で身近に感じ、新鮮な旬のものを人々と分かち合って食べる。そんな日々を過ごしていると、心も身体も元気を取り戻すような気がします。ドローンの物流が盛んになればインフラの物理的課題が変化するかもしれませんし、能登は可能性に溢れていると私は思います。ぜひ栃木の皆さんにも能登の自然に触れ、人々との交流を通じて能登の魅力を感じていただきたいです。(村上光子)