8月12日のみんな崖っぷちラジオでは、「戦後80年とその後」について宇都宮大学国際学部教授の清水奈名子先生をゲストに招いた。清水先生は日本平和学会の会長を務めており、平和の概念についてや、平和に対する向き合い方など、沢山お話を聞いた。
平和とは、「人が人らしく生きられる世界」
8月になると「平和」という言葉を耳にする機会が増える。しかし、その言葉が具体的にどのような状況を指しているのか考えたことはあまりないだろう。戦後80年の間に社会も「平和」の概念も少しずつ変化している。冷戦以前は戦争や争いごとのない状態が平和だと考えられていたが、冷戦終結以降(1989~)からは「人が人らしく生きられる世界が平和」という考えに変化していった。
先生は、戦争は急には始まらない。戦争は、社会の中で自分が大切にされていないと思う人々の不満が溜まり、暴力でしか解決できないと思い込んでしまう状況の中で生じる。そのため「社会の中で、疎外感を抱いたり搾取されたり大切にされていないと思う人をどれだけ減らせるか」が、遠回りのように見えて実は平和につながる道である。
歴史教育とともに平和教育が普遍的になることが必要
世界では今も争いが絶えないが、一方で日本では戦後80年が経過し、社会で戦争の爪痕を見る機会や戦争を体験した方から直接話を聞く機会も減少した。この中で「平和を次の世代にどう伝えるか」が課題となっている。日本では学校などで平和教育が行われている。しかし、その内容には都道府県ごと市町村ごとの地域差がある。個人の受け止め方も様々だ。また、指導者(先生)によっても違いが大きく、平和教育の効果が十分に発揮されているのかにも疑問が残る。戦争の記憶が遠くなっているが、これから戦争を起こさず平和を維持するには、歴史を学ぶことに加えて考え方の意識改革が必要だと思う。
平和教育の場でも日常生活でも「本当にそのことが正しいのか」と自ら問いを立て、主体的に考えを深めていくことが必要だと私は思う。
「戦争は人の心の中で生まれる」陰謀論は敵
最後に清水先生がユネスコ憲章の全文を紹介してくれた。「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない。相互の風習と生活を知らないことは、人類の歴史を通じて世界の諸民族の間に疑惑と不信を起こした共通の原因であり、この疑惑と不信の為に、諸民族の不一致があまりにもしばしば戦争となった」
これを書いた人は第一次世界大戦、第二次世界大戦を若くして経験した人たちでしょう。その人たちが教育や科学を拠り所に異なる人との相互理解を深めることが「平和への道」と示唆していると話す。たしかに、SNSで流れてくる「陰謀論」で片づける前に、自分で考え、自分で疑問に思う学問的・科学的・道徳的な力が、人間の内側から平和を意識し日常生活や行動に反映させることになり、平和な世界への第一歩であると思った。(ラジオ学生 井本涼菜)
ラジオ音声は以下のURLからお聞きいただけます
https://youtube.com/watch?v=nj5KNDm6IX0&si=8UplxtdkiN9zk1O2
