6月3日のみんながけっぷちラジオでは、認定NPO法人うりずん理事長の髙橋昭彦(たかはしあきひこ)さんをゲストに迎えた。NPOうりずんは医療的ケア児とその家族が当たり前に暮らせる社会を目指して在宅医療や訪問診療、日中の一時預かりなどをおこなっている。医療的ケア児とは日常的にたんの吸引や人工呼吸器の使用など、医療的ケアを必要とする子供のこと。この分野はまだあまり知られていないが、2021年に「医療的ケア児支援法」が成立し、社会的関心が高まっていることを表している。20歳未満の医療的ケア児は全国で2万人いるとされ、支援の必要性は非常に高い。うりずんは宇都宮市の徳次郎町にあるひばりクリニックに隣接しており、髙橋さんはクリニックの院長も務めている。
「やらない理由を考えず、やる理由だけを考えた」
髙橋さんはひばりクリニックを開院した当初から在宅医療に取り組んでおり、その中に人工呼吸器をつけた子供もいた。ある平日の昼間にその子の家庭を訪問すると、玄関に出てきたのは父親だった。母親は高熱で寝込んでおり、代わりに父親が子供のケアをしていたのだ。その当時はまだ「イクメン」という言葉も一般的になる前で、育児は母親や祖母などが担うのが普通だった。しかし医療的ケアを必要とする子供の場合はそうはいかず、頼れる場所が少ない現実を知った。
「やらない理由を考えずにやる理由だけを考えた」。
その高橋さんの決意の下、人工呼吸器をつけた子供の預かりが2011年にスタートした。全国でも数か所しかない取り組みだった
外出も本人と社会を変える。「夜の動物園」で経験値を0から1へ
地域に開かれたNPOを目指したうりずんの取り組みは、もちろん施設内にとどまらない。宇都宮市内の動物園でうりずんの利用者たちが自由に夜の動物園を楽しむ「ドリーム・ナイト・アット・ザ・ズー」を2014年から行っている。医療的ケア児は重度の身体障害や知的障害がありほぼ寝たきりの人も多い。家族だけでは外出もままならないのだ。子供たちはそこで初めて動物を間近で見たり、実際に触れて動物のぬくもりを肌で感じたりして、「経験値を0から1」にする機会となっている。また、日中に開催したときもあり、一般のお客さんの中で医療的ケア児も一緒に動物園を楽しむ空間となった。こうした子供たちは家に閉じこもりがちだが、一般の人も外に出ることで、重度の障害児の存在とその対応(バリアフリー化)に気づくことも多いだろう。
【ラジオ後記】
取材で実際にうりずんを訪れたが、その安心感に満ちた温かい雰囲気に非常に驚いた。髙橋さんはもちろん、そこで働くスタッフの皆さんが心から笑顔で迎えてくださり、うりずんについて丁寧に紹介してくれた。このような環境だからこそ、親は安心して子供を預けることができ、子供たちもまたうりずんで楽しい時間を過ごせるのだろうと思った。
また、髙橋さんは最近『うりずんの風に吹かれて-重い病気や障害、医療的ケアのある子どもとともに-』という本を出版した。放送では話しきれなかったことも書かれており、普段なかなか知ることのできない世界を知るきっかけになると思う。ぜひ多くの方に手に取っていただきたい。 (ラジオ学生とま)
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