仮放免者の「声にならない声」に向き合う

2月6日のみんながけっぷちラジオでは、NPO法人北関東医療相談会・AMIGOS理事長の長澤正隆(ながさわ・まさたか)さんをゲストに迎えた。北関東医療相談会は、国内にいる「認定されない難民生活者」に光をあて、「すべての人が健康で平和な生活ができる共生社会の実現」を目指すボランティア団体である。生活困窮している外国籍住民の検診、検診結果の説明、要治療者のフォロー等を実施している。今回は、NPOの活動内容やそこから見えてきた日本社会の現状や課題を探った。

 

移居ダメ、働いてはダメ、健康保険なしの「仮放免者」

仮放免者とは、在留を認められず強制退去をしなければいけない外国籍の人たちだ。本来は入国管理施設に収容されるが、「条件付き」で身柄を解放されれば仮放免者となる。解放とはいうものの、住所変えてはいけない、働いてはいけない、健康保険に入れない。保険証があれば3割負担だが、ないので全額負担だ。また、在留許可でないため就労が認められていない。家賃や食費などの生活費を稼げないだけでなく、病気になっても病院にかかることのハードルが非常に高いのが現状だ。

 

医療費、生活費、交通費、食料すべて寄付。4年で6000万円

 北関東医療相談会の前身は、1997年に群馬県で発足した「外国人の為の医療相談会」である。相談会には栃木県など関東一円の外国人が多く参加したそうで、ニーズに応えようと活動範囲を広げた。相談会に来る人の約90%が仮放免者だ。健康診断だけでなく、食糧配布や交通費の支給、家賃等生活費支援をする。2020年から4年間の支援額は6000万円以上にのぼる。そのほとんどが寄付で支えられている。公的サービスにアクセスできない仮放免者の頼りの綱となっている。

 

「声にならない声」を代弁する

 

 今の日本社会では、仮放免者を含む「すべての人が健康で平和な生活を送ることができている」とは言い難い。仮放免者が現状を訴えたくても言葉の壁があり、声を上げること自体が難しい。長澤さんは、「声にならない声を代わりに出していく」必要があると話した。問題が可視化されていないだけで、ここ栃木にも社会的に脆弱な立場の人々が多くいる。私たちは彼らの状況に目を向け、誰もが暮らしやすい環境づくりに関わっていく責任があるのではないだろうか。(ラジオ学生とま)