ウガンダ“超・がけっぷち経験談”に学ぶ人生訓⇒「人の話をよく聴く」こと。

悩む親に寄り添う。児童家庭支援センター「ちゅうりっぷ」

7月12日みんな崖っぷちラジオのゲストは片桐洋史さん(50歳)。さくら市の児童養護施設「養徳園」内の児童家庭支援センター「ちゅうりっぷ」の副センター長だ。「自分の子どもだけど一緒にいるのが辛い」、「しつけの仕方が分からない、つい叩いてしまう」など子育てができない親への支援を行う。今回は「ちゅうりっぷ」の仕事もさることながら、片桐さんの若い頃の人生の超がけっぷちを紹介する。やさしさと強靭さ、他人を支える心意気等が垣間見えるかも?!

 

マラリアで死地をさまよう「走馬灯が見えるのはまし」

 片桐さんに現在に至るまでの経緯を尋ねたら、思いがけず「超・がけっぷち経験談」を聞き出すことができた。

学生時代、国際協力に興味があった片桐さんは「子どもたちのために小学校を新たに作りたい」というウガンダの知人を手伝い、現地で作業をする日々。朝昼晩、味のしないふかし芋と味のしない紅茶の食事。どんどん痩せていき、最終的にはなんと13kgも減量。「究極のダイエットですね」と笑うが、現地での生活がいかに過酷だったかが伝わる。だが「がけっぷち」はここからが本番だ。その後マラリアに感染。高熱で動けず寝たきりの状態が続いた。食事も喉を通らず、水しか飲めなかった。片桐さんによると「死に際に走馬灯が見える」のはまだ良い状態。「病気が進行して体力がどんどんなくなって、歯はガタガタ震える。夜も眠れず昼も動けない」。自分はこのまま死んでしまうと悟り「今まで迷惑をかけた人に謝ることができない、自分は今まで何をしていたんだろう」と強く後悔し、ボロボロ涙を流していた。まさに瀕死の状態だったが、さらに追い討ちをかける出来事があった。

 

入院中、有り金全部盗まれる! 帰れない「超」がけっぷち。

当時のウガンダの病院には病院食がなく、家族や知人が外から食事を届けていた。片桐さんも現地団体の、ある男の子に食事を運んでもらっていた。初日はボロボロの服を着ていたが、翌日には新品のジーパンとジージャン、また翌々日にはおしゃれな飾りの鎖がついた金縁のメガネ。違和感を感じていたところ、ついに4日目には現れなかった。

リュックサックの中に三か所に分けていたお金は全て盗られていた。所持金は3200円になり、片道切符で来ていた片桐さんは帰国できない状態に。さらに、なんとビザの有効期限があと5日!・・・等々、番組の放送時間には収まらないほどの「超がけっぷち」を経験していた。

 

人生訓「他人の話を聴くことを大切に」

最後に片桐さんはリスナーに向け「人の話を聴くことを大切にしてほしい」と伝えた。自身の経験を振り返り「ウガンダで自分に食べ物を恵んでくれた人や、帰国するまで心配してくれた親、保険会社の人、真剣に親身になって自分の話を聴いてくれました。話を聴いてもらうことで現状だけでなく不安な気持ちも救われ、有り難さを感じました。幸運なことに日本に帰ってこれましたが、生きていく上で大切なことを今も考え続けているのかもしれません」と語った。

地域で子育てに悩む親に寄り添い続ける片桐さん。「かげっぷち」を乗り越えた片桐さんの言葉には重みがあった。「人の話を聴くこと」は一見何気ないことにも思えるが、身の回りにいる、窮地に立っている人や困難を抱えている人を救う手立てになると感じた。【佐藤優】