「社会で生きづらい人」を見過ごさない。更生保護の現状。

9/20(火)のみんながけっぷちラジオは、「更生保護法人尚徳有隣会」保護司の鷹箸孝さん。鷹箸さんは保護司として罪を犯した人の更生(生き直し)に40年以上活動されながら、同時に公益財

団法人とちぎYMCAの理事長も務めている。この二つの“人間育成”活動について、つながりなども含めてお話いただいた。

〇ボランティアが主役。「知られざる更生保護の実態」更生保護は刑務所から保護観察となって出てきても帰る場所や頼れる人がなく、行くところがない人が対象。鷹箸さんのような保護司と呼ばれる人が、衣食住を提供して、対象者がもう一度社会復帰できるよう支援する。この活動は無償のボランティアで支えられており、法務大臣から任命される非常勤の国家公務員となる。「誰でもできるような仕事ではないし、すぐにやめてしまう人もいる。ボランティアの精神を持っている人でなければ難しい。しかし、続けていく中で更生保護に何が大切か、必要とされているのか、なぜ子どもたちが非行に走るのか、見えてくるものがある」という。

〇「犯罪の背景にある、劣悪な成育環境、障害、高齢化」

 現在、刑務所にいる人の2、3割が障害をもった人であり、累犯犯罪者も多い。自分の犯した罪がどうして罪になるのかピンとこないまま犯罪を重

ねてしまうという。この原因を突き詰めていくと、保護を受けるには十分とは言えない、障碍害者手帳を持っていないような軽度の障害をもつ人たちの存在が見えてくる。こうした、社会に生きづらさを感じて生きている人たちを見過ごさないよう保護していくことが大切という。また、青少年の非行には「養育期における劣悪な環境」が挙げられる。そんな恵まれない家庭の子供たちを豊かに育てていくこと、環境を整えていくことで、非行を未然に防止することができる。そのためにとちぎYMCAでは、育児放棄などネグレクト家庭をサポートする「子どもの居場所事業」など、同じYMCAとしては全国的にもあまりやっていない先進的な青少年の育成活動を行っているそうだ。

 

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取材後記:一口に犯罪者といっても、罪を犯してしまう理由や経緯は本当に様々あることを知った。その中でも、高齢者で生活が苦しく、生きていくために刑務所に入る人の話が特に印象的だった。年金問題や社会保障制度などいろいろな問題が絡んでいるのだろうが、若者が将来を不安に感じながら生活する世の中は生きづらくて苦しいと思う。高齢者の様々な問題は決して他人事ではないなと強く感じた