日本にいても、どこにいても、世界のためにできることはある

1/25(火)のみんながけっぷちラジオはJICA(独立行政法人国際協力機構)の「青年海外協力隊」事務局のスタッフである熊倉百合子さんでした。自身も協力隊でインドネシアに行った経験があり、その後、栃木事務所の駐在員となったとのこと。協力隊のことや国際貢献、帰任後の国内での活動のことなどを聞きました。

 

〇現地の人とともに未来につながる国際協力

 青年海外協力隊とは、「その土地の社会課題を解決していく、二十歳以上の日本国民なら誰もが参加できる国際協力活動」だ。ちなみに40歳から70歳までの人には「シニア海外協力隊」もある、と熊倉さん。

協力隊の流れは「試験→訓練→派遣」となる。年に二回の試験に合格すると、約2か月の宿泊型の訓練が始まり、異文化に慣れるための生活を送る。「朝から晩までの語学勉強」や肉体的な訓練もこなす。「この訓練が非常につらく、リタイアする人も少なくない」とのこと。しかし熊倉さん自身は、「自分が派遣される国の人たちがどんな様子なのか、想像するのが楽しかった」と話していた。その後、隊員たちは世界各国に派遣され、それぞれが持っている力や技術を活かして現地で概ね2年間、活躍する。例えば、大学や企業の「部活動で成績を残した人」ならば、そのスポーツのコーチとして、赴任国のオリンピック強化選手の育成に携わったりする。学生時代からキャンプを極め、中学教師だった熊倉さんは、「青少年活動の専門家」としてインドネシアに派遣され、そこで「学校に行くことが難しい子ども」への再教育に携わっていた。日本でいうところの自主夜間中学と公民館を混ぜたような施設だ。そこでは子どもたちの生活向上を目標に、勉強や手遊び、アクセサリー作りを教えていた。そんな熊倉さんの教えたアクセサリーが、現地で人気を集めて、商品化され、村のお土産になったという。このお金が学校へのバス代などになり、教育が充実していく。協力隊員の創意工夫と努力が感じられた。これこそが未来につながる活動で、大切なことだと感じた。

 

〇世界を良くする「ちょっとの力」

 熊倉さんは、派遣期間が終わって日本に帰ってきたときに、「昔からあったが自分の目線がなかった、気づいていたがスルーしていた課題」が多く目についたという。そして、地元をよくしていきたいという想いから、派遣先で得た知識や経験を活かして、様々な活動を行っている。外国ルーツの人たちの学びを保障する「自主夜間中学・小山校」では副校長をやっている。さらに、子どもの貧困をなんとかしたいとNPO法人「子どものとなり佐野」を立ち上げ、子ども食堂をやっている。

  熊倉さんは「自分の身の回りで困っている人はいないか、よく目を凝らして見ること。そのときに自分ができるちょっとのことで世界はよくなっていく。日本にいても、どこにいても、世界のためにできることはある」と話す。

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〇取材後記

私の小学6年生の時の担任の先生が青年海外協力隊の隊員で、ずっと憧れの存在だった。現地での貴重なお話を聞いて、憧れに近づけた気がして本当に楽しかった。個人的に取材時の「キャンプのお話」に興味が沸いたので、次回からはキャンプ関連でゲストさんをお招きしていこうと思います(中島)