性別は「男性」「女性」だけではない

○様々な性の人が集まる大学サークル

 9月28日の放送回では、宇都宮大学LGBTsサークル「にじみや」のメンバー、王(わん)さんからお話を聞いた。

 「にじみや」は性的マイノリティに関心のある学生の居場所としてつくられた。サークルでは、メンバー同士のコミュニケーションを大切にしているという。ゲームや雑談をしたり、LGBTsに関するニュースについて議論をしたりして、メンバー間の親睦を深める。また、自身の性的指向や性自認を言いたくない場合は、言わなくても良いことになっている。他にも、性に関する勉強会を開いたり、LGBTsに詳しいカウンセラーを講師として呼び講演会を行ったりすることもある。

 

○「13人に1人」は性的マイノリティ!?

 近年、LGBTsに関する条例や規則が見直され、テレビニュース等のメディアでもLGBTsが注目されることが多くなった。しかし、LGBTsに関する課題とは具体的にどのようなものなのかを知らない人も多い。そこで、王さんにどのような課題の事例があるのかを伺った。

 中国では「身体や表現行動が女性っぽい男性タレントはテレビに出てはいけない」というルールがある。これは、様々な性のあり方を否定する政策なのではないか。また、性的マイノリティの人が、自身の性的指向について信頼のおける唯一の友人に打ち明けた(カミングアウトした)ところ、なんとその友人が第三者に暴露(アウティング)してしまい、本人が自殺、といった例も少なくないという。

 そのような課題を解決するためにはどうすれば良いか。王さんの考えを伺ったところ、学校での教育が重要だという。「こんな性的指向もある」「こんな性自認の人もいる」といった知識だけではなく、そのような人が抱える悩みや問題について知り、「その解決策を考える」活動が大切、と話していた。また、性的マイノリティの人を「もっと身近にいる存在」だと認識することも重要だという。LGBTsに対する理解が進み、性的マイノリティの人が生き生きと暮らせる環境が、今後ますます必要になってくるだろう。

 

○性だけでは人を判断できない

最後に伝えたいことはと聞くと、

「性的マイノリティ人たちが、シス・ジェンダー(ノーマルの性)の人たちのように、みんなと楽しく恋バナができる。そんな世の中になって欲しい」と王さん。

 性的マイノリティの人は、カミングアウトしている人こそ少ないが、実際には身近にたくさんいる。みんなが、引け目を感じないで楽しく自身のことを話せる時代を強く望んでいた。

 「もし、LGBTsの人からカミングアウトされたら、それはその人から信用されているということ」、「当事者は、言うか言わないかすごく思いを巡らせているから、言ってくれた時には、見る目を変えずそっと寄り添って欲しい」と話していた。

性的指向の違いは、サッカーが好き、野球が好きといったような違いにすぎない。性だけで人を判断せずに、互いの存在を大切に思い合える世の中を望むばかりである。(櫻井)