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「人は誰でも芸術家」。アートとは、行為を通じて心の内側を引き出す作業

○5000個の「子どもたちの希望」

 10月19日の放送回では、栃木県在住の芸術家、林香君(はやしかく)さんからお話を聞いた。

 人や地域のために手助けをしている「助けっとさん」には、福祉や医療・教育の面から支援する人が多いなか、林さんは"芸術"を通して様々に貢献をしている。特に、地域の子どもたちが自由に自己表現をすることができるようなイベント等を展開していることが多い。10月の取材当時は、壬生町のとちぎわんぱく公園で「未来ボタンをつくろう」というイベントを開催していた。このイベントは公園に来ている一般の子どもたちに直径3〜4cmの粘土を渡し、それを「未来ボタン」として好きなようにデザインを描いてもらい、焼成して未来永劫に残る壁にする、というものであった。そして、壬生町の新庁舎完成を祝うため、庁舎内の陶壁に約4,800個もの「未来ボタン」をはめるという。それぞれの子どもたちの希望が詰まった作品が集まり、また一つの大きな作品をつくりだす。見る者にも、これからの未来への希望を感じさせてくれるようなプロジェクトだと感じた。

 

○誰もが持つ個性を様々な手段を使って「見える化」すること

 「学校の図画工作の授業では、子どもは自分を十分に表現できない」と話す林さん。

 図画工作の授業では、作品をつくるための手段やルールが定められ、その制限的な枠組みのなかで工作をし、良し悪しを評価される。しかし、それでは芸術ではなく作業のような授業になってしまう。子どもたちの心の内側は、作業的な作品づくりでは表すことができない。本当の意味での芸術とは、誰もが持つ個性を絵画や彫刻、音楽、文学、詩、ダンス等の様々な手段を使って「見える化」することだという。そのため、一つひとつの発言や行動も芸術のうちの一つであると話していた。

 未来ボタンのほかにも「七色土玉プロジェクト」や「壁画プロジェクト」などを保育園・小学校・児童養護施設でやっている林さん。子どもたちのたった1回の体験を「かけがえのない人生の糧」にしてしまうようなプロジェクトを県内・日本各地でやっている。

 

○歌があったおかげで

 私自身、幼い頃から自分自身のことを話すことが苦手であった。しかし、歌をうたうことが好きで、歌っている時はどんなことも表現できるような気持ちになれた。話すという手段ではなく、歌という手段を使って自分の内面を「見える化」することができた。使いやすい手段は人によって異なるため、それぞれの手段を生かして、素直に表現することができる子どもたちが増えて欲しいと思った。(櫻井)