「今日食べるものがお米1合しかない」という言葉で決心がついた
7月13日のみんながけっぷちラジオはフードバンクあしかが(以下、FBあしかが)の高沢友佳里さんに、活動で見えてきたことや、「利用者の根本的な問題」についてお聞きしました。
FBあしかがの前身は、子どもの居場所が運営する「こども食堂」だった。家に一人でいる子どもたちに手作りの栄養バランスのとれた食事を提供するところである。そこへ1本の電話があった。「今日食べるものがお米1合しかないんです」と。こども食堂スタッフの一人が食堂にあった日持ちする食品や家庭菜園でとれた野菜をかき集め、お宅に届けた。この出来事をきっかけに1年前の6月フードバンクを立ち上げた。ちょうどコロナの影響で生活困窮者が増えていた頃だ。高沢さんたち仲間3人で、とにかく開始だ!
波紋のように広がる支援の輪
まず高沢さんたちはFBの活動や「どんな手助けができるのか」ということを書いたリーフレットを作成し、足利市の児童家庭課、こども課、社会福祉課、さらには民生委員などへ配布して「食べ物に困っている人へつないでほしい」とお願いした。
すると次第に「支援してほしい」と依頼が入るようになった。食品集めはイベント会場や「こども食堂」脇でフードドライブを開催して食品の寄付を求めたり、地域のコンビニやパン屋さんから販路に乗らない食品を寄贈いただいた。東京など遠方の人からはAmazonのほしいものリストを通じて食品を寄付いただくこともあるそうだ。
食品の支援先は生活に困っている家庭や一人暮らし高齢者、DVの一時避難場所等の福祉施設など様々。また「支援したい」という人も集まってきて、立ち上げ当初3人だったメンバーが、今は7人にまで増えた。
コメントおじさん(のぼさん)は「FBあしかがは、まるで20年くらいやってそうなベテランFBみたいだよね」と活動の幅やつながりの広さに驚いていた。
「制度の枠」から外れ、長引く支援。・・・どうする??
活動を通して見えてきた課題は、と聞くと「それを語るには2時間はかかっちゃいますね」と額を押さえ悩まし気な表情。
FBあしかがは「生活困窮者の自立支援の緊急措置」という立ち位置で、支援期間も1か月と決めているそうだ。食べ物の心配がない期間を設けることで本人の根本的な問題解決を促すためである。例えば「生活保護を受ける」、行政の決めた枠組みの中で「使える制度を利用する」などだ。
しかし障害や病気など個人の努力ではどうにもならない問題や、行政の枠だけでは根本的な問題解決に至らないことも多く、結果的にFBの支援が長引くことも多い。
長期FB利用者問題について、コメントおじさん(のぼさん)は「当事者と1対1の対話を積み重ねて改善に向かうように促すことがいいんじゃないか」と語った。(ちなみに、のぼさんはFBうつのみやで活動10年)。「制度の範囲を外れた人はわりといて、そこを私たちFBやホームレス支援団体などのNPOが受け皿になって、当人が受けられる制度を一緒に探したり、別の方法を模索してみることも多い。」と続けた。
FBあしかがの悩みは他のFBでも感じていて、その支援の方法は「一緒に悩む」、「人生につき合う」ということなのかもと思った。
「私たちがやっていることは0じゃない。1なんだ」がFBあしかがの合言葉。私はFBの活動から見えてきた根深い課題に対する解決策や答えがいまだ見つけられないが、彼女たちの「1」の積み重ねが今の社会に変化をもたらす予感がしている。(甘くない佐藤)