「核家族化の現代に必要なこと」子ども食堂ネットワークかぬまの工夫と努力

 今回のゲストさんは、子ども食堂ネットワークかぬま事務局長の加藤美智子さん。子ども食堂とは地域住民や自治体が主体となり、無料または低価格で子供たちに食事と居場所を提供するコミュニティの場だ。鹿沼のこども食堂のお話を伺った。

 

◇子ども食堂が提供するのは「食」と「居場所」

 加藤さんはもともと人形劇団の代表で、各地に公演に行く中で子供たちがあまり劇に集中できずに荒れている様子を見てきた。子どもや親に聞いてみると、経済的な理由などで「家庭の居心地がよくない」という問題があると気づいた。

 そんな子供たちに対して、食を通して居場所を提供することができると考えた加藤さんは、子ども食堂「森のこびと」を立ち上げた。森のこびとでは今はお弁当を作っている。コロナの前までは卓に大皿を並べ、みんなでごはんを食べるといったアットホームな環境。食事だけでなく将棋や囲碁、勉強などもできる「学校」「家」に次ぐ子供たちの「居場所」を提供できていた。核家族化が進む今だからこそ、このような居場所の大切さを強く感じられるのではないかと思う。

 

◇本当に困っている人を見つけ出す工夫

今も昔も利用者の制限はない。子供とその家族、高齢者もOK。そこで私=田中が気になったのが、「本当に困っている人に届きにくいのでは?」ということ。そのための工夫が「共通無料券配布」である。共通無料券は、鹿沼市内の7つの子ども食堂で共通して使える。鹿沼市社会福祉協議会と連携して作ったもので、「どの家庭が困っているのか」を知っている鹿沼社協さんにこの券を配ってもらう作戦である。

 例えば「ある日、子ども食堂にやってきた松葉杖のお父さんと子供」。父のケガで収入が減り生活に困っているところを社協が見つけ出し、共通無料券を配布したのだ。これをきっかけにしばらく子ども食堂を利用していた。ケガが治って元の生活に戻るまで対応できたという。

 

◇地域の人々と家族のように助け合える日を目指して

 子ども食堂ネットワークかぬまは「森のこびと」をはじめとする多くの団体によって作り上げられている。団体ごとのつながりが強いことが特徴であり、地域で水害が起きた際には、他のボランティア団体とも協力し炊き出しを行った。料理が上手なスタッフが多くいる子ども食堂ネットワークかぬまの人たちが災害ボランティアに協力したことにより、当事者に温かいみそ汁と感動を届けることが出来た。

 若者に伝えたいことは、「ぜひ子ども食堂に来てほしい」とのこと。核家族化が進む現代でも、地域の人々と深く関わり合い、助け合える世の中を目指して、加藤さんは日々活動している。

 活動に参加するだけなら特別な資格も経験もいらないので、一歩踏み出す気力さえあれば、子ども食堂の運営に貢献出来、自身の成長にもつながるのではないかと思った。(たなか)