コロナ禍の学生に対する世間のイメージ①
小中高はもう普通に登校しているし、会社員も普通に出勤している。大学も後期からは対面授業が再開したってニュースで見たような…?
コロナ禍の学生に対する世間のイメージ②
入学式、卒業式、学校祭、旅行…青春を作る一大イベントが中止や規模縮小されてかわいそう。せっかく大学生になったのにまともに授業が受けられなくてかわいそう。オンライン授業でかわいそう。
「 コロナ × 大学生 」
コロナで人生プランが狂ってしまった学生はいままさに”がけっぷち”ではないでしょうか。しかし、学生に対するイメージや情報が独り歩きしているかもしれないとも感じていました。まだ対面の授業は多くありません(とくに文系は)。また、漠然と「かわいそう」と言ってしまいがちですが、実際どうなのでしょうか。そこで今回は、2人の大学生をゲストに迎え、学生であるわたしも含めて、日ごろの生活、授業、コロナの影響などについてありのままに語り合う様子を放送しました。
宇都宮大学国際学部3年 きつや あみ さん
今年(2020年)の後期から台湾の大学に1年間の交換留学が決定していたが、渡航予定日の数週間前に大学から受け入れ中止の連絡が…1年生のころから留学を目標に準備を進めてきて、あとは行くだけだったという。
宇都宮大学地域デザイン科学部1年 わくもと おとは さん
今年度入学の1年生。福井県出身で、宇都宮で初めての一人暮らし。後期受験で大学に入学したという悔しさから、一層、勉学・バイト・ボランティアを頑張らなければならないと前向きにとらえていたのだが…
〇オンライン授業と対面授業の比率は?
あみ)最近2つくらい希望者は対面の授業が始まりました。
おとは)オンライン8:対面2くらいです。必修の授業が対面です。
ふじくら)わたしも1つしかありません。
〇オンライン授業はどうですか?
あ)メイクとかしなくていいし、ご飯作って食べたりとゆっくりできていい面もあるのですが、授業終わりに友達と授業の内容について議論したりだとか課題の確認をしたりだとかいう時間が私にとってはとても大切だったのでなくなって残念です。
おとは)対面授業に行くと、4人掛けの机があって、普通なら友達同士で座るんでしょうけど、友達がわからないんです…あと、よく1年生かわいそうって言われるんですけど、わたしたちはこれがスタートだから何がかわいそうかわからないんです。むしろそう言われて傷ついたり。
〇留学がなくなってどういう気持ちでしたか?
あ)じわじわ覚悟はできていたので、やっぱりか~という感じでしたね。大きなショックはなかったです。むしろ前向きな気持ちの方が強いです。留学は大学に入った時からの夢だったので、まだあきらめてはいないのですが、状況によっては留学はやめて4年で卒業することも含め、いろいろな選択肢を考えています。
〇辛かったことは?
お)後期受験で受かって、宇都宮大学に入ったからにはここでがんばろうと思っていたのに、コロナで何もできなくて、5月6月くらいに、あぁわたしここで何してるんだろうってひとりで悶々と考えていた時期はありましたね。精神的に辛かったその時期は、親には電話していたのですが、それ以外には誰に相談したらいいのかわからなくて、友達はまだ関係が浅かったし、先生には相談する手段がわからなくて…
YouTubeでアーカイブもぜひご覧ください。
https://youtu.be/Oxb7CFV6ljE
状況と捉え方は人それぞれ
今回の放送を通して思ったことは、確かに大学生はコロナの負の影響下にさらされているけれども、卑屈になっている大学生ばかりではないということです。早いことでコロナ禍の新学期から8か月も経ちました。「かわいそうな新入生」はもう新入生ではなくなり、「将来のプランが狂った人たち」はもう前を向いている時期だということです。がけっぷちだった大学生は、自分がいまできることを探して、ニューノーマル(=新しい普通)な大学生活を過ごしています。一方で、コロナの影響で経済的に厳しくてフートバンクを頼ったり退学したり、精神的に辛くて鬱になったり、自殺をしたり、という深刻ながけっぷち事例がまだまだあることも事実です。
状況は人それぞれで、軽く考えてもいけないし、重く考えすぎることもないと思います。地域や学校によっても違います。ただ、身近にいないとなかなか知るすべのない大学生の生活や、こういう経験をしてこういう思いを持った学生もいるんだなということを知って、一面的なイメージを払拭していただけたらと思います。
(ふじくら)