創造力は未来を切り開く力!・・壁画で、やったぜ!体験をみんなで造る。

「みんながけっぷちラジオ」1027日のゲストは文星芸大の名誉教授で、陶芸家の林 香君(はやし かく)さんでした。林さんが主宰する「クリエイティブレインボープロジェクト」は、親がいない、虐待、生活困窮などの子どもにも「やった!」という創造の経験をすることで、自分の未来を切り開くことが主眼の“アート体験”です。ラジオでは、「アートの持つ可能性」、創造力で(自分の)未来を切り開くことについてお話ししていただきました。

 

テーマは「考えるを形に」!

 

 プロジェクトには「壁画」、「七色土玉」の2つのプロジェクトがあります。

「壁画プロジェクト」は、90cm×3.6mの壁画を子どもたち5~10人で作ります。宮沢賢治の「よだかの星」をみんなで読み、それを絵にする、というのが取り組むワークで、約10時間で1つの壁画を仕上げていきます。

「壁画のいいところはーAll for One, One for All。一人はみんなのために、みんなは一人のためにー、ということ」と林さん。子どもたち(小学生から高校生までいる)みんなで協力して凄いものをつくれた、という全くやったことのないチャレンジ、が核心なのだと思いました。

 2009年から壁画プロジェクトは開始しましたが、2011年(東日本大震災)以降は、よだかの星に主題を決めたとのこと。「世界観と映像化しやすい」のが理由とのこと。

「壁画をみんなで作りたいという学校からの依頼は多いんですが、お題が●●の未来なんていう、大人でも描けないものだったりします(笑)。だから物語のどの部分をどんな絵にするか、みんなできめて部分に分けて描いていくというようなことをやるんです。文字を形に、意味を形にしていく、しかもみんなで。そこに年長・年少なんてない」と林さん。壁画は県内に30か所はあるそうです。

 次に「七色土玉プロジェクト」。これは七色の粘土(林さん開発の特許あり)を使って土の粒と粒を繋いで面にし器を創る、個人の創作に力点を置いたもの。取材で行っ鹿沼の幼稚園では土玉を見せてもらいました。去年からは災害復興プログラムとして、2019年の台風19号で被災した地域の子どもたちにも、創造することによる体験の共有を目指しています。

 林さんはこの2つのプロジェクトを軸に、子供たちの「考えるを形に」で、人間らしさを養い、創造力を引き出し続けています。

 

常に考えをアップデート!「想像を連鎖させていく」とは?

 

 林さんはプロジェクトに取り組む上で1つ大切にしていることがあります。それは、1つの想像(アイディア)から必ずまた1つ新しい想像を生み出すということ。これを林さんは「想像の連鎖」と呼んいるそうです。

「想像を続けることで、今までに無かった物の見方や新しい価値観に触れることができる」と言います。1つの考えを派生させていくことで、普段の何気ない日常では思いつきもしなかったアイディアや気づくことの出来なかった自分自身の真の感情にも向き合うことができるのです。

 

一人で人生切り拓いていかないといけない子供たち。創造力は未来を創っていく力。

 

 取材で訪問したのは鹿沼の児童養護施設でした。小学生から高校生までが暮らす、その子供たちの過酷だった家庭環境も取材で聞きました。

林さんは「これからも一人で困難を切り拓かなければならない人生。その中でたった1回の経験かもしれないけれど、やった! できた! あれ作ったんだ!という創造の経験があることが、人生を切り開いていく自信につながる」と言います。

 

〇質問は、773@miyaradi.com まで

〇リスナーの皆さんのご意見・ご感想、お待ちしております!

ミヤラジ(77.3FM) 「みんながけっぷちラジオ」

火曜19:00~20:00 オンエア!

 (とうま)