戦後75年。託された「平和への想い」と若者の新たな使命とは?

 

623日のゲストは、とちぎの空襲・戦災を語り継ぐ会 代表の大野 幹夫さん、そして宇都宮大学 国際学部 3年の菊池 蓮 さんでした。

大野さんは、75年前の戦争を実際に体験し、現在は自身の経験などを踏まえ、市内の小学校にて講話を行うなど、積極的に平和活動に取り組まれている方です。

 そしてもう1人のゲストである菊池さんは、現在戦争の歴史を伝えるため、宇都宮大学内にて宇都宮空襲に関する写真・資料の展示や、栃木県内に住む戦争体験者の方々の聞き取りを行っている方です。

 今回のラジオでは、大野さんに平和の尊さ・ありがたみについて、そして菊池さんには、戦後75年の現代を生きる若者に求められている役割についてお話ししていただきました。

 

戦争=当たり前 から 戦争=絶対ダメ へ

 大野さんは昭和7年生まれの現在88歳。昭和7年というと、翌年に日本は国際連盟を脱退、またその4年後には日中戦争が開戦するなど、まさに日本が戦争の渦の中にいた時代です。そんな時代に生まれた大野さんにとって、戦争は生まれた時からある当たり前のものだったそうです。「どれだけ空襲の被害に遭っても、どれだけ日々の生活が苦しくなっても、これが“戦争”だと思えば全く辛くなかった」と大野さんは語ります。

 では“戦争”についてこのように捉えていた大野さんが、なぜ平和活動を始めるようになったのか。それは、終戦後のある出来事がきっかけだそうです。終戦から数十年が経った頃、日頃よく訪れていた近所の博物館でたまたま宇都宮空襲に関する展示を見つけた時のこと。その展示を見ていたとき、大野さんはあることに気が付きます。

この展示は、戦争も体験していない自分よりも若い世代が主催している。」 このことを知った大野さんは、“なぜこれまで戦争のことについて誰にも話してこなかったのか”自分を悔いたそうです。そしてそれと同時に自分自身の経験を他の人に、そして何より後世へ語り継いでいくことの重要性を感じたと言います。これ以降、大野さんは自身の戦争体験に関する講演会の開催や、あらゆる文献などから全国各地の戦争被害に関する調査を進めるなど、現在に至るまで平和活動をされています。

 

若者に託したい「平和への想い」

 近年は、日々の生活の中でも体力の衰えを感じる機会が多くなったという大野さん。ご自身の活動の1つである小学校などでの講話についても「正直あと何年続けられるか分からない」と本音を漏らします。

 今年は戦後75年の年。戦争を体験した方々は年々減少し、現在戦争体験の語り継ぎの難しさが全国各地で浮き彫りとなっています。こういった時代に求められること、それはやはり私たちのような若い世代が、まずは戦争について考える・目を向けることです。大切な家族や友人・恋人がいた、今の私たちと何ら変わらない人々が、戦争によって犠牲となったという悲しい歴史がここ日本にはあります。このような歴史は私たちに「平和とは何か?」そしてその有難みについて問いかけています。

 菊池さんは、戦争に関する調査・活動を始めたきっかけについて「私たちは間違いなく、戦争体験者の方々のお話を直接聞くことができる最後の世代であるから」と語っていました。このことを胸に留め、戦争について目を向ける第1歩を踏み出していくことが重要です。このラジオが皆さんにとって、その第1歩となっていればとても嬉しく思います。

(とうま : 今回のラジオは、放送日の623日が私の故郷沖縄で75年前に起きた地上戦“沖縄戦”が終結した日(慰霊の日)であったこともあり、大野さんをゲストに戦争についてお話ししました。次回の放送もお楽しみに!)

*沖縄戦 : 第二次世界大戦末期の1945昭和20年)に沖縄で起きた地上戦のことで、日・米両軍及び民間人を合わせた戦没者は20万人(当時の県民の4人に1人)にも上ると言われている。

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今回の担当学生はとうまでした!

次回の放送もぜひお聞きください!!