1本の木をこころに植えよう。足尾の山に緑を取り戻す試み

元どおりになるまでの長き道のり

4/28の放送では、NPO法人 足尾に緑を育てる会で副会長を務める長野亮一さんにお越しいただきました。足尾といえば、明治時代に多くの銅を産出した一方で、周辺の山の木々が切り倒されたほか、精錬の際に排出された有害物質によって渡良瀬川が汚染され、下流域の広範囲で鉱毒被害が出てしまったという話を皆さんご存知かと思います。田中正造の働きによって鉱毒事件は解決したものの、足尾の山々は100年近くはげ山のままでした。そんな足尾の山に緑を取り戻そうと、1996年に会が結成され、植樹活動を行ってきました。以後25年間で植樹に活動した人はのべ20万人、植えられた木は26万本に上ります。しかしながら、それでもまだまだ総面積の一部しか緑が戻ってきておらず、「元の自然の状態に戻るには100年以上かかる。私たちはそれを少しでも早めようと活動している。」と語ってくださいました。

自然を壊すことは一瞬でも、それを元どおりにするにはその何十倍、何百倍もの時間がかかり、一度失ったものを再び取り戻すことの難しさ、大変さを感じました。

 

 

子どもたちとの未来へ続くかかわり

足尾に緑を育てる会では、毎年春に植樹デーを開催しているほか、初夏や秋には、林間学校や修学旅行で日光に来た首都圏の小学生たちが約7000~8000人足尾を訪れて植樹活動を行っています。こうした経験を積んだ子どもたちの中には、何年かたって成人してから再び植樹活動に参加してくださる方もいるそうです。「子どもたちが大人になって仕事をはじめたときに、どこかで自然を大切にしよう、という思いを抱いていてほしい」と長野さん。

実を言うとわたし自身、3年ほど前に植樹デーに参加したことがありました。苗を持って斜面を上がり、土を掘って苗を植える。ひとりでは小さな変化にしかならないけれども、それが何十人、何百人とやったら大きな変化になる。当時そんなことを感じたのを覚えています。あいにくその後は参加できずにいますが、今後も機会があれば積極的に参加していきたい、またそれと同時に次の世代に伝えていきたいなと強く感じました。

 

また現在、足尾に緑を育てる会では、スタッフの方と一緒に森の活動に参加していただくための講座の開催を企画しております。コロナが収束したのちに本格的に開催する予定とのことですので、興味のある方は是非会のホームページをご確認ください!

(山本)