12月3日のみんながけっぷちラジオ、ゲストはひばりクリニックの院長である髙橋昭彦さんでした。
在宅医療、下は1歳から、上は103歳まで
ひばりクリニックは宇都宮市にあり、小児科、内科診療と在宅医療を行っています。また、クリニックの2階では病児保育も行われています。隣接して、認定NPO法人うりずんがあります。うりずんは、医療的ケア児(人工呼吸器、気管切開、経管栄養、胃瘻などが必要な子ども)を預かり、日中の活動を展開するところ。
ひばりクリニックでは在宅医療を行っています。在宅医療とは、利用者のお宅に医師や看護師が直接出向いて行う医療のこと。例えば癌で入院していたけれどこれ以上治ることはない時、本人が在宅を希望すると帰宅できますが、歩けなかったり寝たきりだったりすると通院は困難です。こういう時在宅医療を行うとのこと。また、医療的ケアが必要で、通院が困難な人も在宅医療を利用することができます。小児在宅医療を行っていることも、ひばりクリニックの特徴です。在宅医療の利用者約80人中、約20人が小児・若者だそうです。
在宅医療には、往診と訪問診療の2つに区別することができます。往診は要請があった時に行く診療。訪問診療は定期的、計画的にお宅へ伺う診療。定期的な訪問診療をした上で、24時間態勢の往診をするのが一番とのこと。
訪問診療は「会いに行く」
ラジオに先駆けて、髙橋さんの訪問診療に3件同行させていただきました。初対面の人の家におじゃまするということや、医療の現場ということでとても緊張していました。訪問先に着き、挨拶をしておうちに上がります。その後は髙橋さんと介護者の方が話を始めました。利用者さんの様子についても話していますが、内容は世間話も多かったです。「利用者の方や介護者の方と打ち解けることが大切」と髙橋さん。家の飾りや写真について聞くこともあるそうです。訪問の頻度は人それぞれ。週1回の人もいれば月1回の人もいるそうです。「診療しに行っているけれど、その人に会いに行く感覚」とも。なんとなく重い空気だという先入観を持っていたのですが、予想は外れ。明るい雰囲気の訪問診療を見ることができました。
医療的ケアを必要とする可能性は誰にでもある
訪問したあるお宅では、介護者が医療に関する本で勉強したり、利用者のベッド周辺を工夫しより過ごしやすくしていました。「私はプロだけれど、❝その❞利用者のプロではない。❝その❞利用者のプロは介護者の方」と髙橋さんは言います。また、ある利用者は遷延性意識障害(いわゆる植物状態)の方。脳梗塞や事故による脳の損傷が原因で誰もがなりうるものです。医療的ケア、実は他人事ではないのです。今回私がおじゃましたお宅の利用者の方々はみな医療的ケアを必要としていました。気管切開した部分や、胃瘻カテーテルの交換を実際に見たのですが、首や腹に穴が空いているので少しびっくりしました。しかし「必要とする人にとって医療的ケアは生活の一部」。また別の利用者さんは、人工呼吸器を着けながら自力で歩行もできる方でした。
在宅医療では主に家族が介護の役割を果たしていました。家族が介護できない状態になってしまったどうするのでしょう。病院や施設に入ることにもなりそうですが、在宅を希望された場合、別に暮らしている他の家族や親戚に時々来てもらいながら、その他は毎日病院のスタッフが訪問した例があったそう。住みたいところに住む、最期を過ごしたいところで過ごす。そんなことが医療的ケアや介護を必要とする人にも保障されればいいなと感じます。医療的ケアや介護を必要とする方々のことを今までより間近に感じられました。(こばやしめい)