10月9日のゲストは、NPO法人キーデザインの土橋優平さんでした。キーデザインでは、不登校の小中学生向けのフリースクールの運営、小学生から高校生向けの家庭教師、SNSや電話、メール通して、高校生大学生といった若者向けの相談支援をしています。
フリースクールを始めた思い
1~2年後に、と考えていたフリースクールが、今年実現したきっかけは、フリースペース「ミズタマリ」の改装作業をしていた5月ごろのこと。キーデザインのイベントで知り合った不登校のお母さん方から、「フリースクールやらないんですか?」という声が上がりました。土橋さんは、その場で「わかりました、やります」と答えたそうです。そして7月にはミズタマリでフリースクールが始まりました。後述するように、これは相当覚悟がないとできないことだと思います。
フリースクールでは勉強を教えることは基本的にしていません。やっているのはボードゲームで子ども同士コミュニケーション、絵で考えていることを表現すること、うさぎとのふれあい…大学生のスタッフとも接します。緊張している子も、うさぎとふれあうことで打解けるといいます。また、学校に戻すことは目的としていません。子どものことを一番に考えたとき、学校に合わない子にとっての居場所が必要だからです。
フリースクールでは、子どもにこうなってほしい、をあえて言葉にしていないといいます。それは、子どもたちがこれから生きる未来は、大人が生きてきたこれまでとは全く違う世界になる、大人のこれまでの経験や価値観で、これが正しいと押しつけてしまっては無責任、と考えているから。学校には、校訓が体育館に掲げてあるとか、学校便りに書いてあるとか、ありますよね。型にはめて考えてしまっていないか、はっとさせられました。
一つだけ大切にしていることとして、困ったときに助けを求められるように、と思って関わっていると話してくれました。
「子どもたちは、自分で学んで成長していく力を持っている。人生でしんどくなったときに、助けてと言える関係性を作れれば、這い上がることができる」
フリースクールは、子どもと親御さんの両方の気持ちを受けとめています。子どもたちは、安心できる環境がほしい、シンプルに楽しむ時間がほしい。親御さんは「子どもが求めている場がほしい」、また、子どもの将来を心配しています。それは、自分がいなくなったあとのことまで。自立するために、助けを求められるようになってほしい、という気持ちがあると最近は感じているそうです。
うれしかったこととして、フリースクールに来て2回目の子が、「土橋さん」と呼んでくれたこと、また、親御さんから次また来たいと子どもが言ってくれていると聞くこと、をあげてくれました。
継続することが一番大切
フリースクールをやりたい人へのアドバイス、ひとつ目は、実際にやっているところに見学に行くこと、子どもたちに関わってみること。ふたつ目は、なぜ自分がそれをやるのか、気持ちを整理し言葉にすること。子どもたちは、一度でも安心した居場所が、なくなったらショックを受けます。だから、継続することが一番大切。気持ちが定まっていれば、しんどくなっても、思い出してまたがんばろうと思えるといいます。最後に、お金の計画も必要です。
土橋さんは小学校の時の部活動で、夕方になるに連れだんだん体調が悪くなる、という経験があったそう。今思うと、不登校で苦しんでいる子と、近しい感覚でした。逃げ場を作ることの大切さを感じ、そして「不登校だから」と言われてしまうくやしさ…、切実な思いが原動力となっていると感じました。そんなキーデザインが目指すのは「ひとりにならない社会」です。
12月1日は、こどもワカモノフェスタ2019
土橋さんは、12月1日に行われる、こどもワカモノフェスタの実行委員長でもあります。ワカモノフェスタは、不登校や引きこもりであっても、年に一回学園祭のように楽しく安心できる時間を、と始まり12回目。今年は特に、当事者の子どもへ向けたイベントになっています。「こどもカイギ」は、学校のこと家族のこと遊びのこと、何でも話していいよ、という大人禁制の会です。他にも、県内3カ所のフリースクールの説明会&体験会、親御さん同士で話す「大人カイギ」、教員の立場からのトークセッション、高校生によるメイク講座など、盛りだくさんです。会場はとちぎ青少年センターアミークス、中学生以下は無料で、前売り券は300円です。ぜひ参加されてみてはいかがでしょうか。
10月15日のラジオのゲストは、たかはら子ども未来基金の助成で、一般社団法人えんがおでインターンをしている會田未来さんです。
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ミヤラジ(77.3FM)火曜19:00~20:00オンエア! (かさはら)