介護を受けていても、自分の生活を決めるのは自分。町で一人暮らしの方法を伝授。CIL栃木

 4月23日のみんな崖っぷちラジオ、ゲストは自立生活センターとちぎ(以下CILとちぎ)の永田元司さんでした。永田さんは自身も車いすで生活する崖っぷち当事者であり、たすけっとさんでもあります。

 

首から下はほとんど動かない。高校の時にラグビーで頸髄損傷

 永田さんが車いすの生活になってしまったのは高校3年の時、ラグビーの試合中に負った首の怪我。首の中の脊椎を損傷し(頸髄損傷)後遺症が残りました。頸髄損傷はそこから下の体に脳からの指令が届きません。逆に抹消部分からの刺激も脳に届かなくなります。永田さんは腕は多少動くものの、指はほとんど動きません。この症状、怪我した場所(首の第〇頸椎)によってずいぶん違いがでます。腕を含めて下半身が動かない人もいれば、下半身は動かないけれど腕は動かせる人もいます。車いすに乗っているという状況は一緒でも、抱える不自由さはそれぞれなんですね。

 永田さんが怪我をしたのは高校3年なので、いわゆる中途障害です。それまで1人でできていたことが、突然誰かに頼らないとできなくなるのは悔しい。しばらくは親の介護を受けていたそうですが、やはり「親が寝る」と言ったら、自分も寝なければいけない。「親が食べる」時に自分も食べなければいけない。なんとなく自分が主体性を持って生きてないな、と思うこともあったと言います。また「親や兄弟に介護を頼めるうちはいいけれど歳をとって頼めなくなったらどうするのだろう」という不安もあったそうです。

 

自立した生活とは「自分で自分の生活を決められること」

 CILとちぎでは永田さんと同じような障害を持った人が自立生活を始めていました。CILとちぎは「重度の障害を持った人でも、地域で生活をしたいという希望を持っている。それを実現するにはどうすればいいかを、身をもって体験つつ、他の障害者に伝える」団体です。

 実際に永田さんは一人暮らしで、そのためにヘルパーさんを(CILのみんなで)雇っています。「暮らしの中で、思ったような介助を受けるには、どう伝えて、介助をやってもらうかが難しい。ヘルパーも各々個性があるので、その人に合わせた上手な指示をしないと、受けたい介助は受けられない」と永田さん。

「受けたい介助が受けられるかが、自分が主体性を持って生きられるかにつながるんです。例えば「カレー食べたいから作って」と言っても食べたいカレーが出てくるわけではないですよね。味が違ったり、「一口大に」と言っても、人によって一口大が違ったり。また、施設だと自動的に決まっている食事の時間や寝る時間も、自立生活だと自分で決められます、と永田さん。「自立とは、自分で自分の生活を決められることだ」との言葉に、なるほどと思いました。

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最後の言葉がグッときました。ちゃんと考えてみると私たちは当たり前に自分の就寝時間を決め、食べたい時に食べたいものを食べています。このような自立した生活を障害が理由でできないのではなく、皆ができる仕組みや方法を作り広めていくことが必要なのだと感じました。(こばやし めい)