「いっしょに子育て」。親、スタッフ、ボランティアが合力する場

 

 5月21日のゲストは、月の家ボランティアの木村信夫さんでした!

 

月の家はこんなところ! トラックで歌う「送りボラ」

 月の家は、子育て(家庭生活)がうまくできないお父さんお母さんから、子どもが通ってきて、生活の支援をしています。「預けることも愛」とは、主宰の星美帆さんの言葉。星さん夫妻が運営している星の家は、児童養護施設を出たあと頼れる人がいない若者を、自立するまで支援する居候の家。月の家は、さらに16歳以下の若い世代のケアとして始まりました。

 月の家の子どもたちは、市内全域から来ています。小・中学校まで迎えに行き、月の家で過ごしたあと、自宅まで送り届けます。ゲスト・木村さんの本業は便利屋さんで、下校時間は仕事で迎えに行けないので、送迎ボラならぬ「送ボラ」です。いっしょに遊んだりご飯を食べたりもします。帰りのトラックでは、歌を歌って楽しく過ごします。若者支援もしていて、昔はパンクバンドもやっていた多才な方です。

 

「ふつうの家庭料理のフルコース」が子どもたちを励ます

 子供が巣立ち、一段落した木村さん。昔からの知り合いだった星さん夫妻をつてに、ボランティアをすることにしました。それはセルフケアでもあると、木村さんは言います。仕事で疲れても、子どもたちといっしょに遊び過ごすと、リフレッシュできるといいます。「たいしたことはしていない」と言いますが、子どもたちがたくさんの大人と接して視野が広がる、自分が子どもだったとき助けてくれた大人のように、背中を押すことができればと木村さん。月の家に来ることを、木村さんも子どもたちも楽しみにしています。

夜ごはんは、近所に住む人ボランティアで作ります。「ふつうの家庭料理をフルコースで食べられることって、なかなかない」と木村さん。木村さんは、調理ボラがいないときに「今日は俺が作る」と言って、「焼きそばごはんパン」を作ってウケた、と言ってました。あたたかな食事が子どもたちを励まします。地域も方も、優しく見守ってくれています。スタッフさんの尽力、と木村さんはおっしゃっていました。

 

月も家も実はがけっぷち?! 寄付集め隊長は信夫さん

 そして、新たな風も吹いています。星の家を卒業した方が、子どもを産み育てる世代になっています。親に頼ることもできず、シングルマザー。ではどうすれば? 星の家の近所に住み、働いている日は夕方から月の家で預かることもあります。休みの日には月の家にいっしょに来て食べたり…と、支え合っています。本当は地域の中にこういう場所がもっと必要ですよね。

 しかし、月の家も実はがけっぷち?! 委託金だけでは運営のお金が足りず赤字で、ボランティアが頼り。寄付で支えてもらえるとうれしいです。サンタdeランに、木村さんも出る予定ですよ! 

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感想)取材のとき私が驚いたのは、月の家の事情を、子どもたちもいるところで話していたこと。子どもの頃親に「大人の話だから、あっち行っていなさい」と言われて、さみしかったことがあります。子どもは大人の話から、ネガティブな部分だけでなく、ポジティブなことも受け取ると思います。素敵な大人がたくさんお世話する月の家が、これからも子どもたちを育てられるよう、ずっと続いてほしいなーと思いました!(笠原綾子)