DARC=弱い自分をみんなと認める。NAミーティングは、誰でも参加できる。

 4月16日のみんながけっぷちラジオには、昨年6月にもお越しいただいたダルク女性シェルターとちぎの不動めぐみさんをゲストにお迎えしました。

 ダルクはDrug Addiction Rehabilitation Centeの頭文字をとった薬物依存者のためのリハビリ機関で、同じ問題を抱える仲間とともに生活をし、薬物使用のない状態への回復を目指しています。

 薬物依存といえば、違法薬物や麻薬などの一般の生活から離れたコミュニティでやりとりされる危ないモノへの依存症と思われますが、実は私たちが町のお医者さんで処方されるお薬も量や回数を間違えて使うと薬物乱用になってしまいます。ラジオで矢野さんが少年時代に病院で処方されたシロップが美味しくて1本飲み干して2日間眠り続けてしまった!というエピソードも紹介されましたが、そういった幼少期の薬物乱用を大人になってから思い出して、失恋や過労などをきっかけに薬物依存に向かってしまうケースもあるとのことです。薬物乱用も薬物依存も身近な問題であると認識したいですね。

 

 弱い自分をみんなと認める。

 不動さんがお話しくださったことのなかで印象的なのは、薬物依存の人は概して「真面目で頑張り屋である」ということです。真面目で、周囲からの期待や要求に応えたいあまり、辛いときにも甘えたり、頼ったり、手助けを求めたりすることができず、一時的な高揚感や爽快感のために薬物乱用に走ってしまうそうです。さらに使い続けるうちに高揚感なども感じられなくなり、起き上がるだるさを吹き飛ばすために薬物を使い、やがては薬物があっても、生きていくのがどうにもならなくなるのだそうです。

 番組中では不動さんの回復ストーリーも語られました。不動さんは10代の頃からだんだんとシンナーや覚醒剤、処方薬の乱用を繰り返して、とうとう「人生がどうにもならない」状況に陥り、ダルクで回復に向けた生活を始めました。途中挫折することもあったけど、いまではダルク女性シェルターとちぎで唯一の職員として活躍されています。薬物の使用を続けていた頃は体調が悪い、気分が重い、だるいなどといった不調を薬物の投与でごまかしていたため、自分自身の不調を「頭が痛いな」「身体がだるいな」などと言語化することすらままならなかったそうです。

 誰でも朝起きて、「あぁ、今日は仕事行くのしんどいな」、「今日の授業が休みになればいいのにな」ということ、ありますよね。それでも私たちはどうにか起き上がって、顔を洗って身支度をしています。そんなことすら不動さんからみると「薬物に頼らず生きられる幸せ」として認識できるそうです。

 

 「分かち合いのミーティング」で"弱さ"を認め・理解していく

 ダルクでは薬物依存からの回復のためにミーティングを行います。このNAミーティングはなにかを決める、相談する、といった一般的なミーティングとは異なっていて、自分が薬物に手を出した理由やそうせざるを得なかった当時の精神状況を言語化してメンバーと共有することで弱い自分を理解していきます。当事者でなくてもミーティングの様子を見学すること可能な場合がありますので、薬物依存とそこからの回復にどんな世界が広がっているのか、ぜひ一度ご覧になってください。(篠原紬)