6月11日のラジオ、ゲストはおるたの家の稲葉裕一朗さんでした。ラジオでは稲葉さんに、おるたの家立ち上げまでの経緯や、おるたの家での出来事をお話しいただきました。
すごい成人教育の学校がデンマークにあった!
おるたの家は、2016年に小山市で誕生したフリースクールです。名前の由来はオルタナティブ(=代わりの)。「今は学校に行かない子の受け皿だけど、もっと積極的な選択肢になったらいいな」と稲葉さんはいいます。
フリースクールを始めたきっかけは、デンマークのフォルケ・ホイ・スコーレへ行ったこと。英語では“folk high school”となり、つまり大衆(民衆)高等学校の意味です。この学校は入試もなく試験も成績評価も一切ない。大人(17・18歳)になったら国籍・人種・宗教問わず、誰でも入学できる北欧諸国に普及している学校です。全寮制で宿泊・食費・授業料込みで月10万~13万円程度とのこと。こんな教育システムが北欧の民主主義を支えているらしいです。稲葉さんは30歳の時に行って一年間学びました。
帰国時には「大人が誰でも来られる学校が日本にも造れたらいいよな。でも日本じゃ難しいよな」と思ったとのこと。帰国後「何だかフリースクールというものがあるらしい。学校に行けない子が結構いるし、それなら僕ができるんじゃないか」と思い、ちょうどあったフリースクール・スタッフ養成講座に参加して、一年後に小山市で「おるたの家」を始めたそうです。
自由に過ごせる空間、大人の過度な介入はなし
現在、おるたの家に4人の子どもが来ています。おるたの家ではみんな自由に過ごしていて、ゲームをしたり漫画を読んだりしているとのこと。今の流行りは「パズドラ」で、誰かがやり始めるとみんなそれが気になって遊ぶそうです。(その様子はブログにも載っているので気になった人は見てください)おるたの家では稲葉さんの他にも大学生スタッフがいます。スタッフと子どもたちとの距離感は、「少なくとも先生と生徒の関係ではない」「子どもが一人で遊び始めたらスタッフがそこに入る必要はないので、スタッフと子どもがほとんどしゃべらないこともある」とのことです。子どもがいると大人はどうしても介入したくなりますが、そうではないのですね。
フリースクールへの抵抗感や、財政が課題
開設して3年。この3年間フリースクールに携わってきて「おるたの家が必要とされていると感じるし、来てる子の親御さんには感謝されている」と感じているそうです。その一方、フリースクールに対する一般の人の抵抗感も感じているそうです。小山市では約200人の不登校がいるのに、実際に来たり、問い合わせたりする人は少ないとのこと。抵抗感の他にも、そもそも「存在を知られていないのかな」と考えているそうです。周知の難しさもあるとのこと。
また、財政面での課題もあるそうです。現在は月3万円の会費ですが、そうなると困窮世帯は払えません。行政で財政支援をしてほしいというのは切実な願いだと稲葉さんは言います。
リスナーの皆さんへ向けて「人がどう生きるかは縛られなくていい。今、自分がいるところが全てだと思わないで外へ出てみて欲しい」とのこと。
学校が合わない、会社が合わないならそこに縛られずに外を見てみるのも大切なのですね。
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稲葉さんありがとうございました。学校に行かない子が多くなっていて必要としている人が多いにも関わらず、なかなかフリースクールまでたどり着かない現状にもどかしさを感じました。内ばかり見ているのではなく外にも目を向けてみることで突破口やヒントが見つかるかもしれないと思いました(小林芽衣)