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自立とは「人に頼ることができること」

「子どもが親と暮らし続けながら、他人の支援を受ける」ができないか。

 5月7日のラジオのゲストは、とちぎYMCA福祉会が主催する子どもの居場所「アットホームきよはら」の山口さんでした。

山口さんが子どもの居場所を始めるきっかけは、児童養護施設「イースタービレッジ」。いろいろな背景、事情があり親と暮らせない子どもがいます。山口さんは「そんな子どもたちの気持ちは、大きな負担を背負い、明るい方向に向かうのが難しい。施設では、食べる、勉強する、遊ぶことは満たされまるけど、子どもたちが自立するのは困難になる」と思っていました。

「子どもが親といっしょに暮らし続けられるように、何かできないか」と思っていたとのこと。子どもの居場所事業は、その支援のひとつです。子どもの時にたくさんの愛情を受けて、自分を大事にすることができるようになること。それが生きる力を身につけること。そのために具体的に手をさしのべるのが「居場所=もうひとつの家」なのです。

 

市の補助事業。「親子の分離をしないで支援」は栃木県だけ

アットホームきよはらを利用するのは、不十分な(不適切な)養育環境で暮らしている小中学生の子どもたち。市の補助事業で市役所・家庭支援室と、課題を抱える家族との関わりの中で「居場所のサービスを受けた方がいいんじゃないか」と提案を受けて迎え入れます。現在、子どもの居場所事業は宇都宮で2か所目、栃木県内には9か所あります。宇都宮の人口が栃木県の4分の1なので、決して多くはありません。

県には、子どもの居場所連絡協議会があり、居場所事業を広め、子どもとどう関わるのかを学ぶ研修会をしています。親や子どもに発達障害や、知的・情緒的問題がひそんでいるかもしれないとき、どんな支援をするか、どうやって専門家との連携をとるのか。複合的な問題を抱えた子どもの、特性を理解して接する必要があります。そのために、支援する大人も勉強します。

 

「環境・時間・場所・があると子どもが感じたときに、そこが居場所になる」

生まれてすぐのころから、親の愛情を受けずに育ってきた子どもは、不安定な状態に置かれ安心感を持てません。大人を試す行動もするそうです。山口さんはそんな子どもたちを「深く受け入れていく」のが一番大事だと考えています。乗り越えるまでが、関係を作る中で一番大変!

「どう接して良いか悩みますが、まずはいっしょに居られる環境、時間、場所を作ることが大事なんです。環境、時間、場所があると子どもが感じたときに、そこが居場所になります。そして遊んだり勉強したりと、未知のこと、わくわくすることをいっしょにやっていくこと。危ないことは、ちゃんとしかること。それが「深く受け入れること」です。「この人は、本当に自分のことを思ってくれている」とわかると、子どもは安心する」と、山口さんは教えてくれました。

5月のGW中も、アットホームきよはらには子どもが来て遊んでいました。ゲームをしたり、汗をかいて走り回ったり。熱中しているのはダンボールハウスです。学校のある日は下校時間に合わせて学校に子どもを迎えに行きます。YMCAに連れてきて、一緒に宿題に取り組みます。「宿題あったの?」と聞いても「ないよー」と軽やかな返事が返ってくることもしばしば。つい笑ってしまいますが、勉強への意識を無くさないように働きかけているそうです。

 

「子ども食堂キャラバン」。地区内の福祉施設で、持ち回り子ども食堂。

特別養護老人ホーム「マイホームきよはら」の一画なのでお風呂もあります。昼間は高齢者が使用して、夕方は子どもたちが使います。洗濯もなるべくいっしょにやり、夕ご飯も、子どもたちといっしょに作ります。自分で料理をやりたい、という子も多いそうです。いろいろな遊びをし、7時半ごろにはお家に送り届けます。大人とまた子ども同士会えることを楽しみにしていることが多いです。

車いす、認知症のお年寄りと必然的に出会うので、子どもたちはいろんなことを感じているようです。声をかけられるとはにかんでいますが、うれしそうで、お年寄りが子どもたちに向けるまなざしにも優しさを感じます。意図的なことは何もしませんが、お年寄りと子どもたちが一緒にいる、それだけでそこにいる人たちの気持ちがちょっと変わるような気がする、と山口さん。

地域ぐるみの活動として5月から清原地区で「子ども食堂キャラバン」が始まりました。清原地区にはいろいろな福祉施設があります。持ち回りで様々なところで子ども食堂をする、という取り組みです。第1回は、清原地区のポピー祭りに合わせて行われました。ボランティアでの参加もお待ちしています!

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〔感想〕ラジオのあと、お話したことがとても印象に残っています。自立とは何か?と考えるとき、「大事なのは、人に頼ることができること」と山口さんは言います。「本来、人間は助けたり、助けられたりしながら生きていく。強い人間だと思っている人も、頼っている。それを社会は見えないようにしている。」学生の自分には、なかなかできることがないと思ってしまいますが、山口さんは、できるときにできることをするのが大事、子どもたちと向き合ううちに自分の核がわかっていく、とあたたかく話してくださいました。

 

●そして、本日5/21のラジオのゲストは、子どもの居場所「月の家」で送迎&いっしょに遊ぶボランティアとして活躍する木村信夫さんです。元編集者、本業は「くずや」の信夫さんが、どのようにしてボランティアをするようになったのか?また、月の家についてもたくさんお話を伺います!担当は私カサハラです。

質問したい方は 773@miyaradi.com まで  リスナーのご意見・ご感想も待ってます!

 ミヤラジ(77.3FM)火曜19:0020:00オンエア! (笠原綾子)