「無いからできないじゃなく、始めて続けていることが大事」CCV福田さん

「必要だと思ったら作る」

 3月12日のラジオゲストはNPO法人CCVの福田由美さんでした。CCVとはクリエイティブ・コミュニケーション・ビレッジの略。地域で色々なコミュニケーションをとってクリエイティブな活動をしていきたいという願いからつけた名前です。

 鹿沼でフリースクールや障害者の就労支援、グループホームを運営しています。

 

「教員だからできないフリースクール」

 元々は小学校の先生。当時、不登校や発達障害等で「教室にいられない子」がいたそうです。そんな子でも狭いところだと集中できたり、コミュニケーションをとれたり・・・。「適した環境と適した方法で接することでしっかり育っていく」と考えた福田さんは、当時はなかった“そんな子たち”の通級指導教室を作りました。

「小学校で療育的なソーシャル・スキル・トレーニングを受けることは、その後の生活にも影響を及ぼしますね」と福田さん。教員の立場でその子と関わってきたけど、それだけではちょっと限界があると感じたそうです。

「教員としての私が接すると、眉間にしわを寄せて反抗してくるんですが、ボランティアで来ている人にはとてもフレンドリーなんですよ」

「当時は、学校に来られずに家とか地域で過ごす。でもその場所が教育的ではなかった。ゴミのなかで寝ていたり、食べ物がなかったり。それを目の当たりにして「何か、教育的な環境とか、学ぶ楽しさ、人と付き合う楽しさを伝える大人がいたほうがいい」と考えたと福田さん。

「それでフリースクールを自宅でやりましたが、人があふれかえって、寝室まで使った(笑)」。

 でも、利用者とともに支援者も集まっってきた(!)というわけでNPO法人化したと言います。

 その後、福田さんは障害福祉の就労継続支援(B型)の事業所を開始。B型の就労支援は通常よりもう少し軽作業で、障害者手帳を持っている人が利用できます。フリースクールとB型就労支援を併設したのは「連動して使うため」。例えば、14時まで就労支援で仕事をし、それ以降はフリースクールの対話の授業や工芸工作に参加。「お互いが交流する中でいいところを見ながら自由に移動できるように」という意図があります。

 その後、B型の作業もできない人のために「生活介護事業」も開設。「常に介護が必要な人の介護」と「日中の創作的活動・生産活動」を連動して提供するもの。例えば「市の施設を借りて、犬のおやつの型抜き」をしています。 さらに就労移行支援やグループホームも作ったそうです。

 

「無くても、それっぽいことをやる」

 さまざまなことをやっている福田さん。「無いから、できない」ではなく「無くても、それのようなことをしていると賛同者が増える。そして色んなことが出来上がっていく」と言います。「自分がやれることは少し。でも一人の人を助けようと思ったら色々なことが必要。だから、色んな人と手をつないで様々な職種の人にお世話になる方が幸せになれる」

「学びの世界がもうちょっと自由になったらいいな」とも。学校の中でまだまだ声を上げられなくて苦しんでいる親や子どもはたくさんいる。家庭の中でも苦しんでいるところもある。そんな所とつながって「ここはSOSを出せるし、温かい人がいるよ」と発信していきたい。また「組織に入らなくても劣等感を持たずに自分の学びができる仕組みができるといいな」とのこと。学校だけに任せず、地域でも協力していく仕組みがあるといいですね。

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 福田さんありがとうございました。「無いからできないとはせずに、始めて続けているいることが大事。そうすると賛同者が増え、色んなことが出来上がっていく」という話が、福田さんの活動の軸となっていると感じました。