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やってくるのは労働力じゃない。人間だ。 ―外国人医療の現場―

 3月19日のみんながけっぷちラジオには、済生会宇都宮病院の医療ソーシャルワーカー(MSW)・荻津守さんに来ていただきました。国内の労働力不足を背景に入国管理法が改正されて、一層多くの外国人が日本にやってきます。言葉や生活習慣に不慣れな彼らが困ったときに私たちにできることはなんでしょうか。

 

治療以外の不安全部=MSWの仕事

 医療ソーシャルワーカー(Medical Social Worker)は、けがや病気のときに「治療しながらの仕事」や「治療しながらの子育て」などの生活に関わる不安について対応し行政・制度、民間のサービスにつなぐ仕事。休職への不安や育児などの生活の不安感を取り除いて、後遺症なく回復できるのか、痛みはどれほど続くのかといった身体の心配に集中できるようになってもらうことが荻津さんにとっての医療ソーシャルワーカーの仕事だそうです。

 

画期的! 10か国語以上対応の健康診断

 各地の済生会病院グループでは外国人医療相談会として関東各都県で10か国語以上対応の健康診断を実施しています。自分の健康状態を1番理解できる言語で知れるとあって、開催すると各地で盛況になるそうです。栃木では毎年9月位に実施していますが、相談会では医療の不安はもちろん、仕事や子どもの学校での困難、あるいは在留資格を巡る不安など多岐に渡る相談に対応するために、医師やMSWに加えて、弁護士が同席することもあるそうです。関東各地のMSWが集結して行われるために、外国人の相談経験が浅いMSWの経験積み上げの機会にもなっています。

 

「理解できているように見える」日本語。でも本当?

 医療相談会で頻繁にいるのが、「以前、病院で処方された薬を飲んでいるけど、自分の詳しい病状や、飲んでいる薬のはたらきをよく知らない」という人。医師も「1日○回、○錠飲む」などの情報が日本語で理解できているため、医師もそれ以上の説明の必要性を感じず、母国語で説明してないのです。

 医療相談会で母国語での説明を受けると理解が深まり、安心して、治療へのモチベーションも上がるようです。セカンドオピニオンやインフォームド・コンセント(十分な理解と合意)など、国内の医療現場では患者に対する医師からの説明や、患者自身による治療法選択の権利が重んじられてきました。それは患者が外国人であっても同じです。どうか、すべての患者さんが納得して治療できますように!

 4月から始まる「外国人材受け入れのための改正入国管理法の施行」はもう間近。これを機に海外から来る人は、労働力である前に一人の人間です。ときには病気もするしケガもする。そんなときに相談できる人がいれば、日本に来てよかったと思ってもらえるのではないでしょうか。

 荻津さんのお話に一貫していたのは、相手の気持ちや疑問によりそう気遣い、心配りの大切さでした。たとえ日本語でもやさしい日本語を、わかっているようでも間合いをとりながらお話する、など私たちでもできる心配りで日本を本物のおもてなしの国にしていきませんか。(篠原紬)