授業の中身も子どもが会議で決める学校「デモクラティック・スクール」

何をやるにも自由、だからとことん納得するまでできる

  1月8日のみんながけっぷちラジオ、ゲストは栃木市で「デモクラティック・スクールつながるひろば」を主宰する宇賀神雄太さんでした。デモクラティック・スクール(サドベリー・スクールとも言う)は今から50年ほど前にアメリカで生まれた学校です。「特徴は大きく2つ」と宇賀神さん。

 ひとつは「子どもたちが関心のあることを自分で決めて学ぶこと」

 ふたつめは「学校のルール、予算を自分たちで話し合って決めること」だそうです。

 

教科書も、時間割も、先生もいない学び

 「子どもたちが関心のあることを学ぶ」とはどういうことでしょうか。現在日本の多くの人が通うような学校には、当たり前に教科書があります。教科書の内容を先生が子どもたちに教えるという授業形式が当たり前です。一方、デモクラティック・スクールに教科書はありません。時間割もありませんし、授業をする先生もいません。各々が興味のあることをできます。いつ何をするのか決めるのは子どもたち自身です。そう、本当に「自由」という言葉が当てはまる学校なのです。

 しかし、「最初は自由で良かったけれど、だんだん指示がないことが辛くなっちゃう子もいる」とのこと。普通の学校では先生や周りの人から指示が与えられます。ですから、自分が何をすべきか考える機会があまりありません。デモクラティック・スクールでは自分がすることを見つけ続けなければいけないのです。

 スクール(学校)なのでもちろん卒業はするのですが、これがなかなか変わっています。なんと、自分で卒業の日にちを決め、卒業宣言をするそうです。この時「どうして卒業したいのか、卒業して何をするのか」を在校生の前で発表し、卒業して良いかどうかは在校生が判断するシステムです。普通の学校は卒業の日にちが決められ、自動的に卒業できてしまいます。しかし、このように卒業宣言という形にすることで、自分の将来を考えたり目標を定めることができるのではないかなと思いました。

 

4歳と18歳が会議。納得するまでとことん話し合う、伝え合う

「学校の予算やルールも一から自分たちで話し合って決める」。子どもたちやスタッフみんなで話し合って決めるのですが、でも、この学校には4歳から18歳と幅広い年齢の子がいます。「4歳の子は18歳に伝わるような話し方(表現)、18歳の子は4歳の子に伝わるような話し方が必要。表現や伝え方を丁寧にしていく必要がある。そして、とことんみんなが納得するまで話し合う」とのこと。

 そうすると、話し合いがもつれて、朝から帰りの時間まで話し合うこともあるらしいです。異年齢間でとことん、みんなが納得するまで話し合うというのは、普通の学校にいるとほとんどない経験です。

 

子どもたちが楽しみながら学ぶ

「子どもたちが自分から楽しみながら学べる授業をしたい」という思いを持っていた宇賀神さん。元々は教職志望だったそうですが『世界一素敵な学校』という本に出会いデモクラティック・スクールにたどり着いたそうです。

 

 スクール運営上での課題を宇賀神さんに聞くと「スタッフの確保と公的な補助金」の2つだと言います。現在はデモクラティック・スクールに関心を持って、ボランティア・スタッフをしている学生がいるそうです。しかし、その学生も今年で卒業。次に続くスタッフを確保したいとのことです。費用面では、このスクールは、その日その日の実費(1000円程度)でまかなっていると言います。「子どもたちの学びを社会で支えたい」と宇賀神さん。そのために、助成金を利用したり寄付を募ったりしたいそうです。

 

様々なタイプの教育があることを知ってほしい

「色々なタイプの教育を知ってほしい」。今ある日本の学校はあくまでもひとつの教育の形です。私も、全ての人がそれぞれに合った、安心できる学びの場を見つけられたらいいなと思いました。そのために、宇賀神さんは多様な学びについて知ってもらうイベントを行っています。「そのようなところで、リスナーの皆さんともつながれたらいいな」とのことです。

■ ■ ■

 宇賀神さんありがとうございました。私自身教育に興味があって教職を志望しています。今の学校の形に合う子合わない子、合わせている子、様々いる中で、自分に合った学びの場を選択できたらいいなと思いました。(小林メイ)