障害者の雇用は、現場スタッフの理解から生まれる

 12月4日のゲストは、株式会社スマイル竜鳳の豊岡さんでした。ここは、焼き鳥屋「竜鳳」と提携し、障害者の雇用を生み出しています。

 

焼き鳥で障害者雇用

 スマイル竜鳳は、就労継続支援をしているA型事業所です。ここでは、一般の就労が難しい人たちでも就職ができるように訓練やサポートしています。竜鳳で全国に出荷している串刺しをここに来ている障害者の人たちが作っています。

 就職に向けて「働く常識」なしにはできないため、一緒に悩み、強くなり、自信をつけて社会参加を目指しています。

 

「どんな接し方をしたら良いのかわからない」が現場の本音

 福祉以外にも、ホテルマンやTV番組「ガイアの夜明け」「夢の扉」にも出演したことのある豊岡さん。様々な現場を見てきた中で、「障害者の理解は進んでいない。だから、障害者も馴染めない」と思ったそうです。そこで、豊岡さんは現場の人たちの声を聞きました。すると、「現場は、障害者にはどうやって教えたり、どんな付き合い方をしたらいいのかわからないし、難しい」と本音が出てきました。法定雇用率でも定められているから障害者に雇用を!と思う総務と現場には温度差が生じてしまっていると感じました。

 また、精神障害を持つ人を怒ったら潰れてしまうのではないかという声もありました。「障害を持っているからではなくて、一般の人と同じように考えて、心をこめて一緒に仕事をすれば働きます」と豊岡さん。職務上、叱らないといけない時のスタッフへのアドバイスは、最後まで話を聞いてから、「なるほどね。でもね、〇〇とも考えられるのではないかな?」と教えているそうです。

 

待つという支援、障害者も支援できる

 私が施設を見学に行くと、スマイル竜鳳では、職員が「これをやれ」「誰がやれ」とは言わずに気づくまでひたすら待っていました。これは、「一般就労についたら、自分で今何をしなければならないのか考えなくてはならないから、その訓練にもなるなんだ」と豊岡さんは言います。

 施設内には『子どもの貧困撃退=子どもサンサンプロジェクト』で取り組んでいる「寄付つき自動販売機」第1号がありました。自動販売機の売り上げの一部が子どもの貧困撃退のための基金として使われます。「障害者の人たちも飲んで応援しよう!一緒にやるよ」と参加してくれているそうです。

 私は、障害者は支援してもらう側だと思ってましたが、こんな形で支援する側にもまわれるのだ、ということに気づかされました。やってもらってばかりではなく、貢献することで誰かのためになっている自覚も芽生え、そんな気持ちから行動力も生まれるのかなと思いました。

 最後に「企業が障害者を理解し、サポートすることで、定着して仕事をすることができます。企業の力が大きい力になります」と豊岡さんは熱く語っていました。障害者と接する時には、対等にその中に丁寧さをプラス。無理に優しくすると続かなくなるので、足りないところだけをちょっとだけ手厚くすることが大切なのかなと思いました。

  次回は、栃木県の学校ソーシャルワーカーの草分けの土屋佳子さんです。お楽しみに(さとうあやか)