フェアトレード商品のあるお店⑩ -Womb*ウーム

 益子は川尻製作所ヨコの小さな店。森の小人の家といった佇まい。無人。観光客や通りがかりの人は隣接した工房にいるオーナーを呼んで買い物をする。何ともメルヘンチックなのだ。店の名は英語で「ものごとの原点」という意味で、出会いや縁が生まれる場所という思いを込めたとのこと。

 店には薄手の益子焼の器の他、フェアトレードのバングラデシュ、ネパールの手工芸品が並ぶ。そしてアフリカの布や沖縄のTシャツなども。それらは販売に協力することで、ケニアのスラム支援や、石垣島白保地区のさんごを守る運動のサポートになるという。地域(コミュニティ)の経済的・社会的改善を支えているという意味で、コミュニティトレードと呼ぶ。東日本大震災の被災地の物産を有志が販売している動きも同じといえる。

 オーナーの青年は益子焼二代目。手しごとの創造力を存分に耕やす少年時代を自由学園で過ごした県立窯業指導所で学んだ後、沖縄の陶芸家に師事。2010年に自分の作品と雑貨を置くこの店を始めた。

 彼の器は登り窯で焼くが、その燃料は100%廃材を使っている。いわば“エコ食器”。循環型・再生可能エネルギーの木材を使うことで地球にやさしいものづくりにこだわっているという。3・11以降分ったことのひとつは一回の原発事故が、人間を含めて自然を広範囲に傷つけるということだった。くらしの中でできることは資源やエネルギーの消費を今までより抑える工夫と努力ということか。彼の姿勢はこれに通じている。

 益子の陶器市など多忙な時期には店を閉めることも。事前に電話をかけて行かれることをお勧めしたい。(吉田ユリノ/まちなか・せかいネット=海外協力NGOセンター)

 ●益子町益子4327

 ●TEL 080-1296-5903 

 ●Open 10:00~日没まで

 ●定休:不定。窯焚き中は休み

 

■フェアトレードとは■

・国際産直

・適正な価格で取引をすることで途上国の生産者の自立を応援

・地球環境と生態系を守る農法で生産

・お買い物が海外協力になるしくみ

 

※本会機関紙『月刊・ボラ情報』より転載