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他者との関係が処方箋。「社会的処方」が、これからの治療のトレンド!

■投薬・治療以外の処方箋=SDHの充実。

 2/2のゲストは宇都宮市医師会理事村井邦彦さんでした。宝木の「村井クリニック」の院長先生で、整形外科・リハビリテーションが専門。さらに在宅療養支援(訪問診療)もする地域に寄り添ったお医者さんです。

 今日のテーマは「社会的処方」。私=伊東も初耳でした。イギリスで言われだした概念で、医者ができる投薬・治療…では「真の健康」は実現できない。患者の置かれる社会的状況そのものが処方箋ということです。たしかにWHOでも健康を「肉体的健康+精神的健康」と定義してます。病気やケガをしていないから健康!ということではなく、心も、体も、社会環境も健康(健全)でないといけない。難しくいうとWHOが定義するSDH(健康の社会的決定要因)というものですが、これらの欠損による不健康は「医師が薬の処方をしてもだめ」なので、医師の関わり+社会の関わりが必要なのだ、ということです。

ナルホド!と納得の伊東でした。

 

■生活習慣病は自己責任なのか?

「これは社会的に満たされない状態を取り除き、真の健康を目指すという理念です。川に例えたら、医学的な治療を中流とすると、社会的処方は上流ですね」と村井先生。

 さらに、「肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症など生活習慣病は、長年の生活習慣で引き起こされますが、これらは自身の努力だけで改善することは非常に困難」と先生。

「そういった状態にある方への手助けを医療的な治療に至る前に行うことが社会的処方であり、自己責任では片づけられない話ですね」と言います。

 

■居場所も、合唱も、フードバンクも・・・社会的処方!

 たとえば、大田原市の一般社団法人「えんがお」さん。高齢者の孤立をなくそうと地域の空き家を活用した居場所を作っています。地域に根差した活動として、えんがおに集う高齢者の皆さんの「生き甲斐」になっている。居場所に集うことで「ストレス・社会的排除・ソーシャルサポート」等の面で真の健康に向けて一役かっている、と事例を紹介してもらいました。「そういえば私がやっている合唱なんかも」と宮ラジ小林あやかさん。病気(不健康)の周囲にある社会環境そのものを作ること、それは私たちでもできるということでした。

 私=伊東がやっているフードバンクうつのみやでは、ただ食品を渡すだけでなく、生活状況の聴き取りと必要な支援の提供(総合相談支援)をしています。SDH1つである「食べもの」としてだけではなく、利用者の「真の健康」を目指すという意味では社会的処方なのだな、と思いました。

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 今回がラジオ社会人(!)デビューでした。1年間出る予定です。新ラジオ学生の小浜さんもスタジオ見学してました。小浜さんの担当回も近々ですね。次回も是非お楽しみに!(伊東)

 

 

※: SDHSocial Determinants of Health)は、WHO(世界保健機関)が定めた健康の社会的決定要因のこと。社会格差、ストレス、幼少期、社会的排除、労働、失業、ソーシャルサポート、薬物依存、食品、交通の10項目がある。