一人では薬物依存は解決しない。「今日一日やめる」を毎日続ける方法 

 6月20日のラジオでは、DARC(ダルク)女性シェルターとちぎのれんちゃんとみやちゃんをゲストに迎えた。DARCとは、薬物依存から解放され社会復帰するためのプログラムを行う施設だ。スタッフも入所者も薬物依存経験者である。全国に拠点があるが、今日は宇都宮市郊外にある女性限定のDARCからお越しいただいた。

 

自分のことを仲間に話して、薬物に頼らない生活を送れるようにする

 事前にラジオの取材とともに〝NAミーティング〟(注釈1)に参加をさせていただいた。ミーティングはダルクのプログラムの一つだ。人数は6、7人くらい。薬物依存と聞いてなんだか怖そうだと思っていたのだが、実際会ってみると普通の人たちだった。笑顔で挨拶してくれたり、わざわざプリントを用意してくれたりと、怖いどころか優しい印象を受けた。

 ミーティングでは入所者の方が「自分のこと」について話す。過去にどんな理由で薬物を使ったのか、今はどう変化しているか、社会復帰ができたら何がしたいか、など。話を聞いていると、みんな過去に辛いことがあり、生きづらさを抱えていた。

 北陸出身のみやさんの場合は、ひとりぼっちの寂しさから逃れるため薬物依存へと陥ったとのこと。薬物を使うと人格が変わる。生きづらいと感じていた苦しさが消えて、解放されたような気分になるそうだ。ダルクで生活をする人々はその恐ろしさも心地よさもどちらも知っている。

 

DARCは「薬物をやめたい」を支える場所

 重視しないといけないことは薬物依存であることではなく、薬物依存になるほど精神的に追い詰められていたことだ。自分のことをミーティングで仲間に話すうちに心の整理ができ、少しずつ薬物に頼らなくてもよくなっていくのだろう。一度依存してしまえば一人で薬物を断つことは難しい。加えて薬物を断つことの出来ない自分に対しても苦しむことになる。そんな人の受け皿となるダルクに薬物依存から抜け出せず苦しむ人が一人でも多くたどり着いてほしいと思った。(森田)

 

注釈1 NAミーティング:NAは無名の薬物依存症者(Narcotics Anonymous)の意味。ミーティングでは実名は名乗らない、聞いたことを他人に言わないなどのルールがある。「言いっぱなし。聞きっぱなし」の対話集会。「NA」とパソコンで検索すると全国各地のミーティングの予定が載っている。一般の参加もできるミーティングもある。