「スポーツという余暇を楽しむことで、人間らしく生きていけるんです。」
そう語ってくれたのは、今回のラジオのゲストである原田久美子さん。 NPO法人スペシャルオリンピックス日本・栃木の事務局長だ。
スペシャルオリンピックス(以下、SOという)は、「知的障害のある人にスポーツを」という信念のもと、スポーツのトレーニングや競技会を年間を通して開催している。 ケネディ元大統領の妹であるユーニス・ケネディ・シュライバーが1968年に創設した、歴史ある国際的組織であり、現在では150を超える国と地域が活動に参加している。
オリンピックやパラリンピックと同様に4年に1度夏季、冬季の全国大会と世界大会が行われる。
勝つことは二の次? 十人十色の競技会
SOでは、競技者を「アスリート」というが、アスリートに参加制限を設けていない。 「重度の知的障害でも軽度でも、誰でも一緒にスポーツができますよ。」と原田さんは言う。 障害の程度や身体能力差に幅がある中、スポーツをより楽しめるようにするのが、ディビジョニングである。 実力の近い人たちで競技できるようにアスリートを区分けすることだ。
さらに、SOの競技会ではみんなが表彰台にあがれる。 これは、勝負に勝つことよりトレーニングの成果を発揮することを重要視しているSOならではの取り組みだ。
余暇が、人間らしく生きるきっかけになる
暮らしのなかで知的障害のある人たちの支援は多岐にわたる。 教育、福祉、医療、仕事… とあらゆる場面で支援が必要かもしれない。 しかし「スポーツは?」というと、なくても生きていけるものである。 ではなぜ、スポーツの機会を提供するのか。 原田さんは「もちろん、運動不足解消という目的もありますが、それに加えて、スポーツをすることによって、他人との交流が増えたり、余暇が充実したり、もっと人間らしさが出てくると思うんです。」と答えてくれた。
私は、障害者の支援というと、今までは生活を支援することばかり考えていたが、原田さんのお話を聞いて、新たな視点を見つけられた気がする。 私は、サークルなどの余暇活動があることで生きがいを感じたり、より生活が楽しくなったりしていると感じている。 それは、障がいがあってもなくても同じことなのだと気づいた。 余暇はその人らしさを形作っている大事な要素の一つであり、人間らしく生きるきっかけになっているのである。