30周年事業の酒場討論会⑥外国ルーツの人の差別/貧困/包摂がテーマだ。現在深刻化している外国人・外国人ルーツの人々に対する差別や貧困、そして社会全体が排除の方向へ進んでいる現状を再考し、地域共生社会の実現に逆行する動きがある中で、社会のあり方を問い直す場として設けられた。
スタートは20:00から。参加メンバーは、荻津(宇都宮乳児院)、長澤夫妻(北関東医療相談会)、山田さん(寺子屋こども食堂/議員)、中塚さん(ちゅんちゅんこども食堂/議員)、モレさん(希望のタネ)、渡邉さん(元ミヤラジ・30周年祝賀会司会)、越智さん(訪問介護)、大谷さん(市民サークル/特定技能登録支援機関)、緑川さん(社労士)。オンラインでは東京の石原さん(元Vフードバンク学生インターン)、佐野の熊倉さん(ちょこっと)、自立生活センターとちぎの斎藤さん参加していた。
■「やさしい日本語」がなくなってきている
とちぎVネットが設立した31年前の阪神・淡路大震災では、被災した外国籍住民が言葉の壁で必要な情報にアクセスできなかった経験から「やさしい日本語」の概念が生まれた。単に言葉を簡単にするだけでなく「相手への配慮」が必要で、地域共生社会の基盤となる考え方である。しかし、この配慮が無くなってきている感がある。
■在日外国人の現状と課題-難民入管法、低賃金、使い捨て-
①生活環境の悪化: 外国人が住みやすい国ランキングで日本は53か国中44位と低迷している。文化への馴染みにくさ、賃金の低さ、外国人・女性差別などが指摘されている。
②難民認定と入管問題: 日本の難民認定率は3.8%と圧倒的に低く、入管収容施設の処遇改善や、仮放免者の生活支援が喫緊の課題となっている。
③使い捨て労働力: 労働力不足を補う存在として期待されながら、実際には「人間」としてではなく「労働力」としてのみ扱われ、技能実習生の孤立や妊娠に伴う不当な帰国要請などの問題が発生している。
■医療・生存権の危機/仮放免者の人権なし、医療拒否、精神疾患、排外主義
④仮放免者の窮状: 仮放免者は「日本にいても良いが働いてはいけない」という矛盾した状況にあり、収入がなく健康保険にも加入できないため、生存権が認められていないに等しい状態である。
⑤医療拒否と未収金: 保険のない外国人の医療費は病院の自己責任とされることが多く、救急医療が拒否される事態も起きている。また、無料低額診療事業を行う病院が減少し、支援体制が破綻しつつあり、支援者は、病院探しで苦労、ますます悪化している。
⑥メンタルケア: 言葉の通じない環境での収容や職場での孤立により、多くの外国人が精神的に追い詰められており、精神的支援も必要だが、繋ぐことが困難。
⑦政治・社会情勢と「日本人ファースト」:選挙で「日本人ファースト」という言葉が排外主義的に使われ、外国人を排除する動きに危機感が示された。
■具体的支援と提言-政策提言、NGOの医療支援、出産の権利、多文化共生-
A:政策提言: 県内の選挙の際、全ての候補者に「外国人も含む全ての人の命と暮らしを守るか」を問う公開質問状を出し、回答を公表する取り組みを続けている。
B:医療支援: NPO法人北関東医療相談会(長沢さんら)による無料健康診断の実施や医療費支払い支援が行われているが、民間の支援のみでは到底追いつかない。
C:出産・子育て支援: 経済的困窮にある妊婦を救う助産制度(入院助産)の活用や、生まれてくる子供の権利を守るための胎児認知の重要性も議論された。
D:多文化共生の推進: 日本のルールを一方的に押し付けるのではなく、ルールを理解できるような説明(やさしい日本語の活用)と、お互いを尊重し合う仕組みづくりが必要である。
■奴隷扱いでなく、暮す環境を整備し「選ばれる日本」にしないと。
少子高齢化の日本で、外国人は不可欠な存在であり、彼らを「奴隷」のように扱うのではなく、共生の道を探ることが日本の未来を支える。外国人は日本に来たがっているというのは幻想で「日本離れ」の事実を認識すべきである。困ったときに始めても取り返しがつかない。外国人にとっても住みやすい環境へと整えることが最優先で、おもてなしと共生の国となり、選ばれる日本となることが必要である。
参加者からは「諦めた時が失敗であり、続けている限りは成功である」という信念のもと、今後も誰もが安心して暮らせる地域共生社会を目指して活動を継続する決意が共有された。(荻津守:済生会宇都宮乳児院)
