「放っておかない」が自然を守る。茂木の棚田から目指す30by30

民有地の環境保全「自然共生サイト」

1216日のみんながけっぷちラジオではトチギ環境未来基地の塚本竜也さんをゲストに迎え、民間の取組で生物多様性の保全が図られている区域である「自然共生サイト」をテーマにお話を伺った。

生物多様性を守る国際的な目標は「30by30(サーティバイサーティ)」といい、2030年までに、 陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようというものだ。達成のために注目されているのが環境省の「自然共生サイト」だ。民間の力で地域の山や田んぼを生き物の住処として未来につなぐ取り組みが各地で始まっている。

 

手を入れることでよみがえる自然=里山

 里山は「放っておく」のではなく、人が手を加え、関わり続けることで守られる自然だ。「保全」と聞くと、手をくわえないことが良しとされるイメージだが、必ずしもそうではない。草を刈り、木を伐り、地面に光を取り入れ、田には水を張る。こうした人間の行いによって眠っていた植物が芽吹き、生き物が戻ってくる。一度荒れた里山も、根気強く手を加えることで徐々によみがえるという。

 

茂木町の棚田を自然共生サイトへ

塚本さんは2009年にトチギ環境未来基地を設立し、ボランティアの人々と共に持ち主が整備ができなくなった竹林や里山を手入れしてきた。現在は県内10か所の森を整備している。その一つに茂木町町田本郷地区で竹林と棚田の整備を行っている。日本の各地で農家の高齢化が進み後継者不足が問題になっているが、町田本郷地区も例外ではない。最初は田んぼへの整備が行き届いておらず、生き物の住処が失われつつあった。そこで地域の人と棚田周辺の自然環境の復活を目指して米作りを再開した。この活動の甲斐あって生物の多様性が取り戻されてきた。最初は手入れをする人すらいなかった棚田は自然共生サイト認定を目指して着実に再生されている。

 

棚田は地域内外の人たちを結ぶ

最初は二枚の田んぼを耕すところからスタートし、今では子供たちを含むボランティアの人々と共に八枚の田を耕している。塚本さんは、棚田で企業や幼稚園の子供たちと分担して活動していることについて、「知らない人が出入りすることに抵抗感がある地元の人もいるかもしれない」と振り返るが、あまり気にしている様子はない。

これから人が足りなくなる農村において、どうやって人と人との関係を作りながら自然環境を守っていくかが問われる時代になる。農村と都市住民の架け橋活動はまだ始まったばかり。いままで農村が「自然を享受する権利」を守ってきたが、都市住民はそのことに無関心だった。「自然共生サイト」の真価はこれから問われるのだと思った。

 

〈編集後記〉

私が自然共生サイトや30by30という言葉に抱いた第一印象は「なんか難しそう」だった。言葉の意味を知ってもイマイチイメージが湧かない。しかし、今回の放送を通して棚田の再生という具体例を知ることができ、自然共生サイトを目指す取り組みが実際に行われているということと、その成果が30by30達成に貢献するということがぐっと身近に感じられるようになった。百聞は一見に如かず。環境保全って難しそう、と思っている人こそぜひボランティアに参加してみて欲しい。(ラジオ学生 野田)

 

トチギ環境未来基地HP https://www.tochigi-cc.org/

 

環境省30by30  https://policies.env.go.jp/nature/biodiversity/30by30alliance/