とちぎボランティアネットワーク(Vネット)設立30周年記念。当日は宇都宮のメイン会場だけでなく、県内各地から中継をつなぎ、各地で企画を同時展開するという賑やかな一日になりました。その中継のトップバッターが鹿沼のる市民活動の拠点「かぬま市民活動広場ふらっと TAS BASE」で行われた座談会「世の中ほっとけない私たちin鹿沼」です。
座談会では、教育福祉、災害支援、伝統継承と、活動ジャンルはバラバラ、けれど「目の前の困りごとをどうしても放っておけない」という共通の性分を持つ4人の活動者たちが集まり、30年前から現在そして未来へと話が展開されました。なお、開始後15分ほどで中継がプツリと切れ、しばらく視聴者無しというアクシデントもありましたが現場では「まあ、これも楽しみましょう」と笑い飛ばして、和気あいあいと進行しました。
当日のメンバーは4人。①福田由美(由美)さん(NPO法人CCV 理事長/教育・福祉)②福田順之助(順之助)さん(災害救援ひのきしん隊・栃木教区隊副隊長/災害支援)、③山本裕康さん(しめ縄屋&建具屋の跡取息子&地元お祭り若衆/伝統継承)、④渡邉博和(かぬま市民活動サポーターズ/中間支援/筆者)⑤欠:茂木和樹(機動パトロール隊代表)は緊急の現場対応が「ほっとけず」お休み。
「各人の30年前」を持ちより、で自己紹介
導入では自己紹介と共にそれぞれの「30年前の写真」を持ち寄ってもらいました。
山本裕康さんが見せてくれたのは、中学時代のソフトテニス部の一枚。「当時は、いじめを経験して心が暗闇の中にいた。まさに暗黒時代だったんです」とポツリ。痛みや苦しみを知っているからこそ、今の山本さんのどんな相手も丸ごと受け止め、寄り添おうとする姿勢につながる一枚でした。
由美さんの写真は、北海道の市場でお母様と写った、とてもお洒落で自由な雰囲気の一枚。「自由闊達だった母の影響が今の私のスタイルにつながっている」と語る福田さん。既存の枠に抑え込まれ苦しむ若者たちを包み込み、その若者の持っている可能性を共に育て、育んでいく今の活動の土壌そのものでした。
そして順之助さんの写真は、制服を着崩し、鋭い視線を向ける若き日の高校生でした。かつてのあだ名は「爆弾」で本人いわく「急にキレるタイプだった」とか。今の穏やかで頼もしい姿からは想像もつかない、爆弾に秘めていた強大なエネルギーが現在は災害現場で「誰かを守るための力」として輝いている。そんな一枚でした。
ちなみに私=渡邉の写真は世の中を「分かった気になっていた」学生時代の集合写真。当時、将来はNPOみたいなものに関わりたいなと考えていたことを思い出しました。
現場から見える、若者たちの「光」と「教育」
中盤、現在の活動の話題から「若者たち」へと移りました。順之助さんは、災害救援の現場に立つ若手隊員について「技術はまだ未熟でも、被災者の痛みに寄り添おうとするピュアな心がある。その寄り添う力を何よりも大切にしたい」と語ってくれました。
由美さんもこれに強く共感して、不登校や発達障がいのある若者たちを能登半島の被災地に連れて行くと、普段は「支援される側」と見られがちな彼らが、誰かの役に立つ喜びを知り、みるみる目を輝かせるエピソードを話してくれました。続けて「彼らは自分自身が痛みを知っているからこそ、誰よりも純粋に動ける。その光を社会に出していくのが私の仕事」という想いを教えてくれました。その言葉に、「教育」の持つ真の意味、また福祉と教育の融合を目指す福田さんの眼差しに感動しました。
ほっとけない人≒ ほっとかれない人?
後半、山本さんが「迷惑をかけること」への持論を語りました。「日本人は『迷惑をかけるな』と言われがちだが、本当はできないことを頼り、弱みを見せることで、本当の絆が生まれる」。例えば、自身の生業であるしめ縄屋、一人ではできない断崖絶壁での作業の時に、素直に仲間に頼り、その代わりに自分にできることで返す。また、若衆として関わる地域のお祭りでは、同じ町内同士であえて迷惑をかけ合い、あまえられる関係を意図的に作っている。そうした「貸し借り」や「あまえ合い」が当たり前にある関係こそが、いざという時に機能する地域のセーフティネットになるのではないか。その投げかけは、人が人間として生きていく上で、面倒に思える関係の大切さを再確認するものでした。
1人ひとりが「1」を持ち寄る世の中へ
座談会の締めくくり、順之助さんが語った言葉が印象的でした。「10あるうち、1しかできなくてもいい。その1を認め合い、補い合う社会でありたい」今回、座談会で話したかったのは、単なる活動の報告ではなくて、今を実践する人たちが、どんな想いで活動し、どんな世の中を目指しているかでした。限られた時間と中継が止まるアクシデントはありましたが、これからの更に30年、あちらこちらで自分なりの「1」が持ち寄られ、社会が構築されていく。そんな面白そうな世の中をイメージできる座談会でした。
なお、中継終了後には「普段からこんな座談会が欲しい」となり、近々第二弾を実施予定となりました。貴重なきっかけをくれたVネットの30周年に改めてお祝いと感謝の時間となりました。(渡邉博和/NPO法人かぬま市民活動サポーターズ)
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