親子で里山ボランティア~サシバの里を守る~

 芳賀郡市貝町のサシバの里自然学校には、その広大な敷地内に竹林と水田があり、日本のタカの一種サシバの有数の繁殖地となっている。

 サシバは、タイやマレーシアなどの東南アジアで越冬するが、繁殖するために日本各地の里山まで渡ってくる。水田などに面した林の中で巣を作り、そこを狩場にして生息しているが、年々サシバが減少している現状がある。

 サシバの里山自然学校では、敷地内の竹林と水田を維持管理し、毎年舞い戻ってくるサシバの里山の生態系を守っている。その一環として実施されているのが、水田周りの竹林の維持などを行う「親子で里山ボランティア」である。

 

里山保全は、力仕事。

 1月26日に実施された「親子で里山ボランティア」では、親子2組とボランティアの計12名で、竹ゴミを撤去する作業を行った。サシバが繁殖できる環境を維持するためには、田んぼに面した竹林の一部を撤去する必要がある。そうして、水田で餌をとって隣接する林で巣作りができる「谷津田」と呼ばれる里山環境ができる。しかし、その環境を守るには、大掛かりな竹運びや水田の適切な管理など、力仕事を必要とする場合が多い。湿気の多い時期に育った竹は、撤去をしても乾燥しきれず、処理にも一苦労する。春には渡ってくるサシバが繁殖できるように里山を整備するのも、時間が限られているのである。

 サシバの里自然学校では、親子のみならず、学生ボランティアも集めることで、広大な竹林とサシバの繫殖地の維持管理に尽力しているのである。市貝町の自然の中で、若者を巻き込んで、いきもの豊かな里山を守る保全活動を行っている。そうした中で、子どもたちに自然を守る大切さ、生物多様性の保全、そして保全活動に必要な労力と時間を身にもって経験することで、その意義を伝えているのではないかと思う。

 

SAVE JAPAN プロジェクト~いきものが住みやすい環境づくり~

 サシバの里山ボランティアは、SAVE JAPAN プロジェクトとの共催で実施されている。日本の希少生物種と自然環境を守るために、日本各地で取り組まれている環境保全活動とその団体を支援し、地域住民が自然環境に関心を持って、「いきものが住みやすい環境づくり」を実現するプロジェクトである。絶滅危惧Ⅱ類とされるサシバは、近年のダム建設事業や道路建設、工業団地の開発事業に加え、水田の圃場整備(農地を整形すること)の影響で繁殖地を失い、その繁栄が危惧されている。SAVE JAPAN プロジェクトは、このような地球環境の破壊に対して、損保ジャパンと連携して、各地域の環境NPOやNPO支援センターに寄付を行い、日本規模で環境保全活動を底上げしているのである。

 

自然を守る楽しさ・動物と共存する喜び

 サシバの里自然学校では、竹運びという活動的な作業を楽しみながら取り組むボランティアの姿があった。寒い中、長靴を履いて森の中へと歩き、竹林の付近に募った竹ゴミを水田の方へと運ぶ親子たちは、楽しそうに体を動かして作業していた。地域の自然を整備し、サシバが生息できる里山の自然を守ることに喜びを持てたのではないかと思う。日本の自然環境は、老若男女問わず、関心を持って協力する人たちで守っていくのだろう。(インターン生 石原)

 

 サシバの里自然学校は、2月16日3月2日に里山ボランティアを実施する予定で、随時募集しています!

申し込みの詳細はこちら→ https://savejapan-pj.net/sj2024/tochigi/event/post_1.html