「入管・難民法」改悪。だけど「子どもは日本に居て良い」特例措置

 日本で生まれたが在留資格がない子ども201人中、140人に在留資格(在留特別許可等)

 2023年8月4日(金)、斎藤法相が記者会見を行い、日本で生まれ育ったものの親と共に強制送還の対象となり、在留資格を持たない外国人の子どもに対し、人道上の配慮から、「在留特別許可」を特例で出す方針を発表した。

 許可の対象者は、子ども約140人と親を含め数百人となる見通しで異例の対応である。

 先の通常国会で改正出入国管理・難民認定法が成立し、難民認定申請中でも申請が3回目以降なら強制送還できるとしているが、日本でしか暮らしたことのない子どもが親と共に強制送還される恐れがあると指摘されており、今回に限り、一定の救済措置を講じるとしている。

 

 201人が日本生まれ。が、転居もバイトも、仕事もできず。

 

 出入国在留管理庁によると、日本で生まれたにもかかわらず、在留資格がない外国籍の18歳未満の子どもは全国で201人となっている。その大半は、一時的に収容を解く「仮放免」とされており、国民健康保険に加入できず、公立学校には通えるものの、許可を得なければ、居住する都道府県から移動できないなど、多くの制限があり日常生活においても困難が生じていた。「定住者」等の資格が得られれば、アルバイト等働く事も可能となり、日常生活上の制限は大幅に緩和される。

 

一定の評価はするが、「今回のみ」の異例の措置

 

 今回は、親に重大な犯罪歴がある場合などを除き、一定の条件を満たせば約7割に当たる140人程度に、在留資格が与えられることになる。

 今回の措置について一定の評価はするものの、親の犯罪歴等の事情によって排除されてしまう子どもがいるということは、子どもに責任はなく、子個人の人権が認められていないことになる。加えて、ほぼ同様の立場にありながら、すでに18歳以上であったり、幼少期に来日した子ども・若者とその家族が対象外となってしまうことは大きな問題であり課題となる。

 

日本に暮らす全ての非正規滞在者に、在留特別許可を!!

 2023年6月、改定入管法が成立したが、その附帯決議では、「在留特別許可のガイドラインの策定に当たっては、子どもの利益や家族の結合、日本人又は特別永住者との婚姻関係や無国籍性への十分な配慮を行うこと」が「格段の配慮事項」として明記されたはずである。

 退去強制令書が発付されても帰れない「送還忌避者」のなかには、幼少期に来日し日本で生育した子ども・若者、日本人や正規滞在外国人と婚姻関係にある者、日本で暮らす子どもや配偶者を養育する者、家族の国籍が異なるため家族が共に暮らす場所は日本以外にない者など、今回の特例措置に該当しないものの、「帰れない事情」を抱え、日本での正規の在留を求めている外国人が多数存在している事実がある。

 附帯決議に基づき、人道的な視点から、家族をもたない人も含め、日本を居場所として暮らす全ての非正規滞在者に対し、在留特別許可を適用するよう強く求めたい (荻津 守)