原発避難のリアルを若者(まご)に伝える伝承イベント

〇原発避難者の生の声を聞ける絶好の機会

 東日本大震災による原発避難。あなたは、その問題の本質とは何かを考えたことはありますか。

 10月8日(土)に下野市のコミュニティセンターにて、栃木県内の原発避難者と大学生の若者が交流するイベントを開催しました。これは、原発避難の実際を次世代に伝承することをねらいとしたものです。

 企画・運営を務めた私(櫻井)は、福島県三春町出身の大学生。自身が福島出身であるにもかかわらず、今まで原発避難のことを知ろうともしませんでした。それは、知る機会がまわりになかったからだと思います。そのため、他県の若者にとっては尚更程遠いテーマだろうと思い、このイベントを企画しました。

 

 イベントは三部構成で開催しました。

 第一部はレクリエーション。「ペタンク」という体を動かすゲームを行い、参加者間の緊張がほぐれる活動となりました。意外と難しかったようですが、チーム同士で競い合う刺激的なゲームに、楽しんでいる様子でした。

 第二部では、福島県双葉町から避難してきた北村雅(きたむら・ただし)さんと私でトークショーを行いました。北村さんとは、昨年から「次世代に伝える。原発避難11年目ラジオ」という番組で共演していました。番組を通してどのようなことを感じたか、次世代に伝えるべきこととは何か、といったテーマで熱弁する北村さん。参加者はみな真剣なまなざしで聞いていました。

 第三部では、若者と避難者同士でワークショップを行いました。6グループに分かれ、それぞれのグループ内で「避難当時に欲しかった支援」「助かった支援」「次世代に伝えたいこと」の3つのテーマで話し合いました。避難を経験していない人には「もし自分が避難者だったら」と想像して考えてもらいました。避難者のなかには事故当時のことを話したくないという人も多く、難しいテーマでしたが、胸の内を打ち明けていただいたことで自身の安心感にもつながったと思いますし、若者にとっても避難のリアルを知るとても良い機会になったと感じました。

 

〇来年も再来年も開催していきたい

 アンケートへの回答をたくさんいただきました。

「生の声を聞くのは初めてだったのでとても良かった。」

「話してみるといろいろ思い出して、もっと話したくなった。」

「当時を思い出して、辛くなった。」

「避難者が不快な思いをしなかったか、少し気になった。」

「伝えることの大切さを知った。」

など、さまざまな意見がありました。

 このような、避難者の生の声を聞くことができる伝承イベントは他になかなかありません。より多くの若者に避難のリアルを知ってもらうため、今後も引き続き本イベントを開催したいと思いました。(櫻井)