街を歩く200人のサンタクロース。子どもの貧困の撃退を訴える

○サンタクロースだらけの街

 12月19日(日)、約200人のサンタクロースが宇都宮の街中を歩いた。

 とちぎコミュニティ基金が毎年開催するサンタ de ラン(今年は、サンタ de クリーン&ウォーク。以下、サンタイベントという)は、今年で6回目を迎えた。参加者はサンタクロースの格好をして、街中に落ちているごみを拾いながら子どもの貧困の撃退を地域の人たちに訴える。

 そんなサンタイベントを力強く引っ張っていき成功に導いたのは、栃木の学生たちが集まって結成された「若者チーム」の存在である。12月7日の放送回では、若者チームのリーダーである伊藤和樹(いとうかずき)さんと、サブリーダーの寺田啓人(てらだけいと)さんをゲストとして招き、お話を伺った。2人は宇都宮大学2年生だが、フードバンクうつのみやのインターン生として活動している。2人に出会った時、とても大学生とは思えない非常に強いエネルギーが感じられた。

 

○7人に1人の子どもが貧困で困っている!?

 子どもの貧困撃退を訴え、寄付を募るサンタイベント。しかし、そもそも子どもの貧困が分からない人が多い。子どもの貧困は、ひとり親家庭で親が働きづめだったり、非正規雇用、低所得など経済的な理由から、普通の子どもが経験することを「やったことがない」状況のことを指す。「夏休みに旅行に行ったことがない」、「ご飯はいつもひとり」、「誕生日ケーキを食べたことがない」といったような「体験の貧困」。さらに「親以外の大人の知り合いがいない」などの「関係性の貧困」は、宇都宮市で40%、そして「子どもの貧困」は、日本で7人に1人である(15.5%)。そのような現状をより多くの人に知ってもらうため、伊藤さんは「街中を歩くサンタクロースたちに興味を持ってもらい、それを機に子どもの貧困について伝えたい」と話していた。大勢のサンタクロースによって地域の人たちの気を引き、子どもの貧困のことを知ってもらおうと考えた。

 

○あなたも明日から貧困に…?

 サンタイベント等の機会を通して、宇都宮がどのような街になることを期待しているか聞いてみた。寺田さんは「誰でも相対的貧困になる可能性はある。貧困について自分ごとのように考えるきっかけが増えて欲しい」と話していた。また、伊藤さんは「出身地である福島県から宇都宮に来て、宇都宮は多くの人とのつながりが生まれる街だと感じた。1人+1人=2人ではなく、3人にも4人にもなり得る。サンタでもっと活気あふれた街になって欲しい」と話していた。2人の確固たる覚悟から生まれた言葉が、私の心に強く響いた。(櫻井)