県北初のフリースクール「アップルバウム」で、子供たちの選択肢を増やす

 413日のゲスト助けっとさんは磯 翔(いそ なつる)さんでした。

 磯さんは那須塩原市にある認定こども園を運営していて、そのかたわら学童保育や学習塾を経営しています。5月からフリースクールも始めるということで、子どもたちた親、地域の事情を聞きました。

 

フリースクールは子供のためであり、親のためである

磯さんが認定こども園に勤務して23年が経った頃、卒園したこどもたちの親御さんから、学校に行きにくい子供たちが実は多い、ということを知りそんな子供たちのための居場所を作りたいと考えた。卒園後も子供たちを継続して支えるため、まず学童保育と学習塾を始め、そして今年の5月からフリースクールを始める予定だという。

学習塾での様子を聞いてみると勉強するのはもちろんのことだが、その日来た子供に合わせて遊ぶ時間やお楽しみの時間も作るという。具体的には「突然アイスを買ってきてみんなで食べる」「人数が少ないときはコンビニに行ってお菓子を買いに行く」などなど。思いがけない嬉しいことが待っている学習塾。私も行きたくなってしまった。こどもたちも気持ちは同じようで学習塾へ行く時間が増え、自然に勉強時間も増えて成績も上がっているという。そんなONOFFを使い分けた学習塾や学童は夕方からなので、日中に同じ場所でフリースクールを開くのだそうだ。

お話を聞いて、磯さんは子供の居場所を作っている人だ、という印象を受けた。しかし磯さんは「フリースクールは親のための居場所作りでもあるんだよ」と話してくださった。子供が学校を休むと親は会社を休まなければならない。那須塩原市はい一人親(多くは母子家庭)も多く、世帯収入が低い傾向にあるという。観光産業が盛んな地域だからコロナの影響で親は働きに行く機会が減り、さらに学校に行きにくい子どもも増えたそうだ。

そんな地域でフリースクールという場所ができるとなると、親の負担が軽くなるのは予想がつく。子供が毎日元気に「いってきます!」と学校に行く姿を見る、「ただいま!」と言って帰ってきて今日あったことを話してくれる、そんな子供の姿を見るだけで親は嬉しいだろう。収入面、精神面両方にゆとりを持てるようになる、親のための環境作りもフリースクールを始める目的の一つだという。

 

フリースクールの継続性を見据えた設計

フリースクールの問題の一つとして運営費など国からの助成金がないことが挙げられる。特定の地域や自治体で独自にフリースクールへ助成金を出すところもあるが、その数はまだ片手で数えられるほどだ。現状は、フリースクールへ通うためのお金を払う必要があり貧困家庭には苦しい。

磯さんはフリースクールを長く続けるために、フリースクールを始める前段階として学習塾と学童保育を始めた。そこで出た利益をフリースクールの資金源に回せるからだ。塾や学童、フリースクールを同じ場所で時間帯を変えて開くとなれば、新たに場所を確保する必要もない。学童保育や学習塾で働いていた人たちが日中も働けるようになり正規雇用が生まれる。つまり磯さんの経営する会社内でワークシェアが実現できるのだ。

ここまでを見据えて動いている磯さんに私はとても驚いたし、磯さんが長く子供もを支え、地域に貢献していくんだという覚悟が伝わってきた。これからどんなフリースクールにしていこうかという未来のお話もたくさん聞けた。5月からスタートする予定のフリースクール「 アップルバウム」にぜひ遊びに行きたいと思います。(佐藤)