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宇都宮の3割が「関係性の貧困」。人のつながりが薄い家庭。

●地域に応える活動をしよう! 宇都宮市の新事業を受託

 8月3日のみんながけっぷちラジオ、助けっ人さんは「ふらっと☆たからぎ」の吉川未知さん。ワーカーズコープ(日本労働者協同組合連合会)にいて、地域に応える活動をしよう!と思っていた吉川さんは、ふと目にした下野新聞の連載「子どもの貧困」の記事に興味を抱いた。折りしも、宇都宮市の「親と子どもの居場所事業」実施事業者の公募がされていた。ワーカーズとして応募し、採択され事業を受託、2020年9月から「ふらっと☆たからぎ」を開始した。

 

●自己肯定感が低い「関係性の貧困」の子

 「関係性の貧困」という言葉がある。経済的貧困とは異なって、生活習慣が乱れている、周りに尊敬できる人がいない、相談できる人がいないなど、「教育・経験・人とのつながりに恵まれていない状態」のことをいう。「関係性の貧困」にある子どもは、自分に自信がない、将来に希望を持てない、後ろ向きな思考になりやすい傾向がある。宇都宮市の調査では、市内で11.8%の子どもが経済的貧困の状態にあり、また、全体の約3分の1(33%)の子どもが「関係性の貧困」の状態にある。(子どもと子育て家庭等に関する生活実態調査/2018宇都宮市子ども未来課)

 

●地域の駆け込み寺としての居場所

 宇都宮市の子どもの貧困対策プロジェクトのテストモデルとしてスタートした「ふらっと☆たからぎ」。現在は継続的な利用者が定着し、登録14家族(1回の平均利用者は15人ほど)になった。運営を続けていく中で「関係性の貧困」があることを深く認識するようになった。最初は、家庭の話を全くしなかったひとり親家庭の母親が、ぽつりぽつりと悩みを打ち明けてくれるようにもなった。

 吉川さん自身も3人の育児の真っ最中で、子育ての困りごとがあった時の駆け込み寺としての「地域の居場所」は大事だと改めて認識したと言う。

 

●対等+ふらっと寄れる、から命名

 吉川さんは「同じ立場、当事者として関わることが大切」という。また、そのように心がけている。支援する側・される側にしてはいけない」とも言う。名前にも2つの意味を込めた。「flat=平ら」であること、平坦で、利用者と対等な関係を築きたいこと。そして「フラッと立ち寄れる居場所」。

週3回、月・水・金の15:00~20:00に新里街道と宮環の交差点近く(細谷町324-10)で実施中。子育てで悩んでいる方は「フラッと」立ち寄ってみてはどうだろうか。

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関係性の貧困は、貧困の連鎖(貧困が親世代から子世代に連鎖すること)にも大きく関係しており、また、解決が非常に難しいという。日々、困窮家族とかかわるフードバンク活動をする中で肌で感じている問題だ。「支援する側とされる側になってはいけない」という吉川さんの言葉。フードバンク利用者にそう思わせてしまった時点で関係性には大きな壁ができてしまう。一朝一夕で身につくものではないが、常に意識しながら相談対応を行わなければならないと改めて感じた。(伊東)

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