戦争×地震。政府がないだけでなく、自由に発言も行動もできないところ。

神戸の震災で「助けられた経験」を世界に恩返し
 6月2日の「みんながけっぷちラジオ」では、CODE=海外災害援助市民センターの吉椿雅道さんをゲストに迎え、「ミャンマーの戦争と災害」をテーマにお話を伺った。 
 「CODE=海外災害援助市民センター」は、1995年に発生した阪神・淡路大震災で、世界各地から支援を受けた経験から、「困ったときはお互いさま」の想いを持ったKOBEの市民みんなの想いで発足したNGOである。2002年に設立から今までに、60を超える支援活動を行ってきた。災害発生時の緊急支援だけでなく、現地のNGOや住民と協働しながら、住宅再建やコミュニティづくりなどといった長期的な復興支援活動にも取り組んでいる。 
戦争下のテント暮らしで熱帯病に 
 2021 年2月1日、ミャンマーでは国軍による第二次世界大戦後では3度目のクーデターが発生した。これが現在の内戦のきっかけとなり、国軍と「民主派 少数民族」との戦闘が続いている。約6000人が死亡し、2万人以上が投獄されたという。クーデター前にはアウンサン「 スーチー大統領による10年間の民主化時代があり、多くの若者がこの民主主義を守ろうとして必死に抵抗したが、国軍から厳しい弾圧を受けた。現在も非常事態宣言が続き、国として十分に機能していない状況にある。 
 そんな中、2025年3月28日には、ミャンマー中部のマンダレー市近郊を震源とするM7.7の大地震が発生した。死者は3800人を超え、地震による火災で約400世帯が被害を受けた。衛生環境も悪化して蚊が媒介するマラニアやデング熱も発生。多くの人々が現在もテントや竹製の簡易住宅、そしてヒビの入ったいつ壊れるかわからない住宅で生活している。 
集会禁止、自由に言えない! 国の計画がない、国際機関も入れない 
 内戦の影響で災害支援がうまくいかない。国軍の検問で支援物資が十分に届かず、「全くないか、潤沢か」地域で格差がある。だが、政府が2つあり、戦闘で双方が機能していないので調整機能がない。また、政府による具体的な復興計画がなく、国際機関も支援活動を進めにくい状況にある。 
 人々の生活への影響も深刻である。6人以上の集会が原則禁止されており、国軍への反対意見を自由に発言したりデモを行ったりすると逮捕される。過去の弾圧によって人々は現状について語らなくなり、市民同士互いを警戒する監視「 密告社会の状況も生まれている。また、クーデター後の経済停滞により失業や貧困が拡大している。 
国際NGOが作る「民ー民」のつながり・対話・理解・信頼 
 災害支援を通して大切なのは、軍事政権ではなく、そこで暮らす普通の市民の生活や思いを理解することである。また、日本とミャンマーのつながりや、人と人との対話によって生まれる相互理解や信頼の重要性についても学んだ。 
 「日本も、スパイ防止法など戦争準備のための市民監視の法律が準備されていますね」との矢野さんのコメントに、吉椿さんは、 
「私たちNGOの活動も、スパイ活動として摘発されるかもしれない。これはミャンマーの密告・監視社会の状態。そういう日本社会にしたくない」という。 
 私たちにできることは、信用できるNGOや個人からの情報も集めてメディアリテラシーを高めること、ネット上の情報をうのみにしないこと、他国への偏見を持たず相互理解を深めることという。また、信頼できる団体への寄付や、政治や社会問題に関心を持って選挙で投票することも大切である。ミャンマーの現状を知り、自分に何ができるのかを考えることが、世界平和への第一歩になると感じた。(五十嵐花奈)