2月13日の「NPO・市民に聞く戦争と平和ラジオ」では、1月に引き続き、沖縄から谷山博史さんをゲストに迎えた。今回は、沖縄で進行する軍備増強の現状についてお聞きした。
長射程のミサイル導入
護るための基地から、攻撃のための基地へ
石垣島、宮古島、与那国島という沖縄の先島(さきしま)という島々はこれまで軍事基地(米軍、自衛隊)のない平和な島々だった。しかし、2016年から与那国島をはじめ、次々と自衛隊駐屯地が開設。最初は警備部隊や沿岸警戒監視部隊のみの態勢だったが、2020年に入ってからミサイル部隊の配備が始まる。特に宮古島では弾薬庫・射撃場・訓練場が住民居住地からわずか200メートルの場所に建設された。これらのミサイル基地には、敵基地を攻撃する長射程のミサイルが配備されている。つまり、日本が攻撃される前に相手国(中国)を攻撃するということを意味する。そうなれば、中国の反撃を受けるのは基地周辺であり、住民を巻き込むことになるのは間違いない。
先島だけでなく沖縄本島もミサイル基地化が進んだ。いざ戦争が始まれば、真っ先に沖縄が火の海になるのは確実である。
住民をも巻き込む軍事訓練、12万人全島避難訓練も。
ミサイル基地化に続き、軍事訓練の頻度・規模が拡大しているという。例えば、2022年11月に実施された自衛隊と米軍による日米共同統合演習「キーン・ソード22」。これは日米軍施設で実施する日米最大規模の実動演習である。他にも、全国の陸上自衛隊10万人を動員した演習など、実際の戦争時に向けての訓練が大規模な形で進められている。また、何よりも驚くべきなのが、この軍事化が沖縄の住民の領域まで浸透しているという事実である。各地で港湾や空港の軍事利用を前提とした機能強化・インフラ整備が行われ、さらには、地域住民を巻き込んだ避難訓練の実施がなされている。那覇市では子供から大人まで106人が避難訓練に参加。また、全島避難のシミュレーションでは、観光客を含めた12万人を島外に避難させる訓練が行われた。
住民を監視する「土地規制法」。戦前の日本に!
沖縄の住民に強いられたのは、土地が問答無用で基地に利用されたり、避難訓練に参加させられるだけでなかった。軍事監視地域が設定され、基地周辺の住民には防衛・自衛に関わる情報の守秘義務が課せられた。基地の情報を漏洩しないこと、そして、住民の中に政府の防衛、自衛に反対する者があれば通報する義務があり、密告も許されるなど、住民を調査・監視するための法「土地規制法」が整えられている。このような法は、どこか第二次世界大戦の下の大日本帝国の振舞や独裁国家のような風潮を感じさせる。この話の最も恐ろしい点は、この義務が法律で正式に定められているところである。私たちが、学校の社会の授業で習った「戦争をしない日本」は今や戦争に向け準備を着々と進めている。
きっと本土も火の海になる!
谷山さんのお話を聞くまで、私自身も知らない沖縄の情報ばかりだった。沖縄で起こっている軍事化の現状、これが戦争につながった時、火の海になるのはきっと沖縄だけでなく、本土も同じである。人ごとのように捉えるのではなく、自ら自国の問題として沖縄の情報を捉え、積極的に情報収集と平和的解決を目指す視座を発信していきたいと感じた。(千葉奈央)