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発達障害持ちのキャリアに向き合う就労支援の形

 今回は(株)ワークエントリー栃木事業部所長の野崎さんに話を聞いた。

 ワークエントリーは、行政からの委託をうけ、就活のサポートや企業に対しての採用や定着のサポートを行っている。野崎さんは前職の人材派遣会社を3年前にやめ、ワークエントリーに移ってこの事業を立ち上げた。いまでは野崎さんが束ねる従業員は50人にもなった。事業の中で今回取り上げるのは、発達に特性がある人への就労支援である。

 


「コミュニケーションの型」で生き抜く社会

 野崎さんによると普通に就職できる人はそのまま就職していくが、発達障害と言われるコミュニケーションに難しさを抱えている人はよりサポートが必要なのだという。とくに重要なのは「ライフ訓練」と呼ばれるものだ。コミュニケーションの型を学ぶことや、生活習慣を整えさせ、出勤時間を守ることを教えるなど基礎的な訓練をおこなっている。

「社会に出ると発信することよりも受け止めるコミュニケーションが中心になり、型でできることが増えてくる」と言い、習得することで就職につなげようとしている。

 一般的に発達に特性のある人は、上司からの指摘を事実としてではなく歪曲して受け止めてしまうという。普通に言葉で受け取り、フラットに返せるような訓練をおこなっている。野崎さんによると「コミュニケーションは、誰にも教えられなくても人を見て学ぶものだという世間の感じが強かった。しかしこういう型を学べば就労できる人もいる」と話す。実際に野崎さんが担当したAさんも、医学部に行ったが中退するという挫折を経験しここに来た。Aさんが遊びに来た時に、

 「あの時野崎さんが言ってくれたことってこういうことなのかって、今はその意味を拾いながら仕事してます」と言われた。この時に、やっていてよかったというやりがいを感じた。

 

キャリアは「自分に向きあうこと」から

 野崎さんが人生の中で一貫してきたことは、「人のキャリアに向き合う」ということだ。「キャリアって本当に生まれてから死ぬまでの人生そのもの」と言い、これからも人のキャリアに向き合っていきたいという。

「結局答えは自分の中にしかない。自分に向き合い、自己理解をしていくってことがすごく大切だなっていつも思ってます」とリスナーにメッセージを送った。この言葉は、将来のキャリアに漠然とした不安を抱える私にも、まずは自分に向き合うことから始めようと思わせてくれた機会になった。(鈴木)