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2/14「不登校の子と親と幸せのため」38年守る親の会

今回のゲストは、栃木登校拒否を考える会事務局長の石林正男(70)さん。不登校の子どもの親たちが悩みを話し合う場ができればと、38年前に会を作った。石林さんのマスクからは、真っ白なひげが飛び出ている。「昔は黒いひげだった。」と笑う石林さんからは、会の歩んだ歴史が感じられた。

会は、全国に先駆けて作られた。「当時は会場いっぱいに参加者がいた。」と栃木各地から参加者が集まったという。「わざわざ来るのもたいへんだから。」と会は栃木県内各地に生まれた。現在は第二世代が運営をしており、18カ所まで数も増えた。

親の会とは、不登校の子をもつ親が集まり、悩みを語り経験を伝え合う会だ。新しく来た親が自分の悩みを語り、ベテランさんが「うちもそうだった。」「わかる、わかる。」と実体験を語ってくれる。「支え合いながら、いかに明るく、毎日が平和な生活ができるかが目指すところ。」と、石林さんは言う。「子どもが疲れていると、それを見る親もつらい。家庭を安らかにするにはこんな場所もある。」と紹介していきたいという。

 

「師匠」と慕われる石林さん

石林さんは、県内の高校で国語の教師をしていた。生徒に点数をつけ、評価が高い順に進路が決められていくことが苦しかった。点数で評価するのではなく「子どもが自分から、何がやりたいかを選択できる場をつくりたい。」と個人を活かす教育を目指し、走ってきた。

そんな石林さんを会の保護者は「師匠[i]」と慕う。『こどもワカモノフェスタ』という子どもの不登校を考えるイベントの会場でも、石林さんの周りには自然と人が集まり、次々に話しかけられた。ラジオ中にも保護者から感謝のメッセージが来た。

―いままで(親の会を)師匠が守りつなげてくれたから、我が子はじめ不登校の子どもたちが元気に幸せの方法を見つけることができています。いつも子供たちの幸せを一番に考え、願ってくれてありがとうございます。そして今の私がいるのも師匠のおかげです―

石林さんは「私のほうがむしろ支えられている。」と返答し、ラジオの終わりにはメッセージの書かれた紙を、鞄にそっとしまった。

 

とちぎの「多様な学びの場」が一目でわかる!マップ完成!

現在の石林さん達は、講演のPRや不登校についての情報発信を中心に、県内のみならず全国の親の会とつながっている。この交流の輪は「親の会」を飛び越え、子どもの幸せを願う栃木県全域の人にも広がっている。県教育委員会とも連携し、栃木県の子どもに多様な学びの場の情報を提供しようと「とちぎ多様な学び場・居場所マップ」を作られた。

県内の親の会・居場所・フリースクール・自主夜間中学など学び場を地図とともに記載し、一目でわかるものにした。これまで親たちは、子どもが不登校になってから慌てて対応する状況があった。そこで相談場所やフリースクールをすぐに探せるようにと作った。石林さんは「どの場所も楽しく明るい現場が多い。ぜひぜひ訪れて。」と親たちにエールを送った。(鈴木)

 

 



[i]石林さんは、親の会の開催中に子どもたちが遊んでいられる場を作りたいと、夜間中学を始めた。この中で、釣りが得意な石林さんが子どもと釣りをする時に、「師匠」と呼ばれていることが由来になっている。

 

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