3月24日のラジオ、ゲストは訪問型病児保育NPO法人リスマイリー代表の山口真由美(やまぐちまゆみ)さんでした。山口さんは栃木県で初めて訪問型の病児保育事業を立ち上げました。きっかけ、取り組み、今後の課題についてお聞きしました。
「風邪引いた子を家に置いて、働きに出る」ひとり親の無念!
シングルマザーとして2児を育てた山口さん。仕事の多忙さから「子どもが幼かったころ、風邪をひいた子を1人家に残したまま仕事に行った」経験があったとのこと。「今でも悔やんでも悔やみきれない」と言います。数年後、友人との会話から病児保育を知り、「私も病児保育を通して、働く親と子どもを助けたい」と思い、リスマイリーを立ち上げたそうです。
リスマイリーの役割は、仕事で忙しい親の代わりに風邪を引いた子どもの面倒をみること! 親からの依頼を受けると専門の研修を受けた登録スタッフを利用者宅へ派遣する「訪問型」病児保育です。
スタッフは一般の(子育て経験がある)お母さん。保育士や看護師の資格は必要ありません。研修では体調管理の徹底、容体の急変などの対応方法とともに、予め利用希望者宅に訪問するなど安心できる体制作りをしています。
施設型病児保育のように「子どもを連れていく必要がない」など、利用者目線なのは、実際に子を持つひとり親の立場を知っている山口さんだからこその特長だと感じました。
子育ての環境づくりは社会全体で行っていくもの!
リスマイリーの利用者は共働きのお医者さんや教員、公務員など“富裕層”が多いそうです。本当に応援したい母子家庭・父子家庭など「ひとり親世帯」はまだ応援できていません。その理由は、訪問型のリスマイリーには「利用料の補助」がないからです。
ひとり親の働き方の支援に病児保育が必要な理由は、生活困窮=貧困問題があるからです。日本の貧困率は15.7%ですが、「ひとり親の貧困率」は50.8%と非常に深刻です(2015年)。
宇都宮市には病児保育がありますが1日31人分で、昨年は年間3000人が8か所の「施設」を利用。利用料は2500円と格安。でも、市全体で1日31人であり「ひとり親の支援」ではなく共働きも含めたの親全体のためでもあります。結果インフルエンザ流行の時には、共働き親は「どちらかが休む」のに対し、ひとり親は「仕事か、看病かの選択」を強いられます。
もっと定員を増やす必要がありますが、現実には定員増は難しい。宇都宮市は昨年3000人の利用に9000万円の予算をだしています。1人3万円、つまり27,500円の市からの補助金。病児保育は市の負担が大きい「高コスト」なのです。
リスマイリーの訪問型は1日1万円の実費がかかりますが補助金がない。だから困窮世帯が利用できないのですが、市から7500円を補助金がでれば、2500円の負担だけなので困窮世帯もみんなも利用するようになりますよね。
たとえば同じ9000万円の現在の予算を「訪問型1000万+施設型8000万」に振り分けると、訪問1000人+施設2666人となり、3666人増加します。同様に訪問4500万+施設4500万なら6000人(4500人+1500人)と利用者が倍増します。
対象者は誰か、最適の予算配分は何かという考え方が必要ですね。この推計はVネットの「子どもSUNSUNプロジェクト」で明らかにしていて、宇都宮市には「訪問型にも補助金を出るように」と要望していると矢野コメントおじさん。
「今後、困窮世帯にかぎらず、ひとり親にもリスマイリーを利用してもらえるようにしたい」と山口さん。
本来なら「施設型」「訪問型」どちらの病児保育事業の利用者の状況もあまり大差はないはず、「低コスト」も入れる選択をなぜしないのか、不思議に思いました。(とうま)
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今回の担当学生はとうまでした!
次回の放送は4月7日(火)、ぜひお聞きください!!