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「環境だけでなく貧困や差別も解決」 SDGs時代の里山再生

 トチギ環境未来基地の塚本竜也さん(47)が今回のゲストだ。現代における里山の可能性を発掘することを目的に2009年に設立。環境に関心を持つ参加者を中心に荒れた里山を整備し、再生している。参加者は延べ1万5千人、毎年2千人にも及んでいる。

「誰も取り残さない」里山の可能性

 「里山」の環境を守ろうとの意識は高まっている。東京書籍の教育総合サイトによると、持続可能な社会を目指すSDGsの「15、陸の豊かさを守ろう」でも、里山が注目されている。里山は人間の手が加えられることでその姿を保ってきた。しかし人口減少により管理者がいなくなる現状がある。塚本さんはそれに着目して、栃木県内の10か所20ヘクタールの里山で荒れた土地を整備し、里山や自然の維持をおこなっている。参加者は若者を中心に子どもから、社会貢献活動を行う企業人、障害を持つ人まで、多種多様な人が関わっている。

例えば、茂木町にある「森のようちえん」の整備にも設立から関わっている。森のようちえんは自然体験活動を軸に教育する幼稚園であり、文字通り森のなかに作られている。塚本さんはボランティアとともに森を切り開き、場所を作るところから手伝っている。整備して終わりではなく木を切った場所で子どもたちが遊ぶ姿をイメージできることもやりがいになっている。現在も定期的な整備を行っているという。

 

23回でもいい」。現場を知り環境を考えるきっかけに

 塚本さんは「23回来て、来なくなるでも十分」と、参加者の継続的な参加を押し付けていない。「虫がいて、蚊にも刺される。こんなに大変だとわかるのも大事」といい、実際の現場体験を通じて環境を考えるきっかけになればいいと話す。

さらに塚本さんは活動の中で「環境だけがよくなってもだめ」ということを感じてきた。近年では専門的に取り組むNPOが増えてきたが、「縦割りはNPOの本来の持ち味であった分野横断性を生かし切れていない」と、分野横断的に関わるNPOが減ったことを危惧している。その意味で塚本さんによる環境に社会問題を融合させた取り組みは価値があるという。これはSGsのいう持続可能な社会の達成に向けても必要になってくる。「環境や経済だけがよくなっても、貧困や差別が広がっては幸せではない」と、持続的な平和のために取り組むと意気込んだ。(鈴木)

 

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