第三の居場所が叶える子どもたちの「やりたい」

 1月30日のラジオでは那須塩原市にある一般社団法人Apple Base(アップルベース)の原田幸希(はらだ・さき)さんをゲストに迎えた。Apple Baseは家でも学校でもない、また塾や学童とも異なる「子どもの第三の居場所」である。子どもたちの「やりたい」に常に耳を傾け、子どもたちはその「やりたい」を実現することに力を注いでいる。

 原田さんは、リハビリ職である作業療法士として病院に勤務していた。が、子どもの発達障害への興味や、大学生の頃のつながりからApple Baseの立ち上げにかかわり、現在に至った。原田さんに具体的な活動やエピソードをお話していただいた。

 

利用条件なし。誰でも来れる

 Apple Baseは、放課後に子どもたちが来るが、利用条件を定めていない、誰でも利用可能な場所になっている。そのため、学校や学年が異なる様々な子どもの交流のきっかけともなる。また、子どもたちが安心して過ごせるような空間づくりや、非認知能力の育成も目的。だから時間割やスケジュールをあえて設けず、自分自身で、自分が何をして過ごすのか決めてもらうという。つい大人が子どもに手を出してしまうことも多い。自分で決めるので、自分で考え、選び、行動することができる能力、生き抜く力が身につくという。実際に子どもたちは、スタッフや友達と話したり、工作や調理活動をしたりと様々なことを楽しんでいるそうだ。

 

全部自分たちで計画・準備・運営

 子どもたちが自分たちの「やりたい」を追求できる環境の中で、子どもたちのやりたいことに対する熱意や生き抜く力が現れていたと感じたのは、宿泊学習の話だった。宿泊学習も、企画や準備などすべて子どもたち自身で行うという。子どもたちだけで「どのように宿泊学習を行ったら良いか」と話し合い、企画書・パワーポイントのスライドをスタッフに持っていき、プレゼンをする。意見やアドバイスをもらい、調理活動などの準備も踏まえた上で、試行錯誤の末に進めるという。この話を聞いて、宿泊学習は子どもたちの「やりたい力」の育成に大きな影響を与えると感じた。子どもたち自身で創意工夫して自主性を育むことができる活動は、家でも学校でもない、「第三の居場所」だからこそできるのだなと思った。

 

「子どもたちに耳を傾けること」が関わりを築く

 原田さんに、子どもと関わる上で大切にすべきことを聞いた。

 「とにかく、子どもたちの声に耳を傾けること」とシンプルな答え。意思疎通は、否定せずに耳を傾けることで、子どもが大人と相談できる関係性を築くことができる。子どもの考えや感情を知れるだけではなく、子どもが話すことで抱えていたものを少しでも解消することができる。また、声を聞き続けることで、子どもが大人のしてほしいことを受け入れてくれるようにもなるという。

 開設されてからまだ若く、勢いのあるApple Baseの活動は非常に興味深いものであり、改めて子どもたちにとっての「第三の居場所」の必要性を感じることができる話だった。 (立花)