人生に大きな影響を与えるのは「親」と「生活リズム」

613日のみんながけっぷちラジオでは、自立援助ホーム「しもつけ」から、福井福治(ふくい・ふくはる)さんをゲストにお迎えした。児童養護施設は保護者(親)のいない子供や虐待されている子供などが暮らす施設であるが、通常は義務教育を修了するまで(中学校卒業)である。しかし、中卒で自立は難しい。そのような子供を自立援助ホームで預かり、就職・ひとり立ちを支援している。現在は高校一年生から20歳までの6人が暮らしている。また、福井さんは家庭裁判所から補導児童を預かるようにお願いされ、実家でも支援を行っている。今回のラジオにはその一人である伊藤さんも出演してくださった。

 

 

●朝に起きて、夜に寝て、三食食べられるのは当たり前じゃない。

  自立援助ホームではなにか特別なことをするわけではない。朝に起きて、朝ご飯を食べ、学校や仕事へ行き、帰ってきて夜ご飯を食べ、お風呂に入って、寝る。これを毎日行う。私たちの生活と何も変わらないではないか。しかし、「普通の生活」だからこそ難しいのである。朝に起きて夜に寝ることは当たり前じゃない。幼い時に生活リズムの整った生活をしないと、成長してから自立を難しくする要因になってしまう。朝に起きて夜に寝られなければ、学校も行けないし、仕事にも行けない。「普通の生活」をすることは難しいことであり、また自立するための大きな力を持っているともいえる。我々にとって簡単だと思われるこのようなことが彼らにとっては難しいという。

 

 

●自立援助は綺麗事ばかりじゃないけれど、やりがいは多い

  自立援助ホームに入っても、必ず自立できるというわけではない。自立できないまま別の施設に行ってしまったり、犯罪に手を出したりする人もいる。福井さんは「この自立援助はいいことばかりではない。」という。そのような子を何人も見てきたからだ。しかし一方で、自立できた子もたくさん見てきた。「仕事をして、結婚をして、家庭をもって、報告してくれることがある。そんなときが一番うれしい。」と語った。今まで自立を支援してきた子を思い出す福井さんは、父親がわが子を思うような顔であった。自立の最大の支援は「親代わり」になることなのだと気づいた。「普通の生活」を送って、良いことも悪いこともすべて受け止める。それが最大の自立支援なのだ。

 

 

●「福井さんを尊敬しているし、感謝している」

  今回のラジオには福井さんのご自宅で一緒に暮らしている伊藤さんも途中参加してくださった。福井さんと伊藤さんは本当に親子のようで、福井さんは伊藤さんのことを「どこにでもついてくるから本当に金魚のフンだ」と笑っていた。しかし、実際は福井さんの右腕としていつもたくさん働いてくれるという。伊藤さんは、福井さんに伝えたいことについてラジオで感謝の言葉を述べた。オンエア後には、「いつも恥ずかしくて言えないだけで本当に感謝している。福井さんのおかげでここまでこられた。」と言っていた。福井さんは照れながらもどこかうれしそうな顔をしていた。親か、親のような存在がいて、「普通の生活」を送ることがわれわれの人生においてどれだけ大きな力をもつのか肌で感じた。